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戦国哀歌64
幸助の床擦れは快方に向かっている。
労苦を要するが、寝返りを打たせない事に依って床擦れは快方に向かった。
つまり綾と僧兵達が代わる代わる交代で、幸助が寝返りを打たないように幸助を押さえ付け、床擦れを悪化させる寝相をさせないように防止したのだ。
このやり方は介助する方も一定の姿勢を保ち、動けないから非常に疲れる。
だから小刻みに交代しながら粘り強く、幸助の身体を力を加減しつつ押さえて行く。
その間、リズム良く幸助に飲食をさせ、身体を拭き、おむつを代えて行くやり方。
おむつは当然布おむつしかなく、ある程度纏まったところで、井戸のところに持って行き、綾が揉み洗いをする。
完全なる共同作業の中で幸助の介護は日常に溶け込んでおり、誰一人不平不満を言う者はいない。
そんな状況が続いている。
そして才蔵が旅立ってから、火矢に依り三度のぼや騒動があったが、寺の衆に依って迅速に鎮火、大事には至っていない。




