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戦国哀歌59

もし仮にそうなった場合は、よろしゅうなと、男はうそぶいた。

男が不敵に微笑みうそぶく。





「例えば俺が前田勢の間者であるのを秘めながら、こなたの寺に潜入しようとしているとしよう。じゃが俺は前田勢故に、あんたが探している毒消しの手掛かりを知っているとして、もし間者である秘め事が発覚した場合、俺は打ち首獄門になるわけじゃ。そこであんたが俺を助けなければ、あんたはせっかく掴み掛けた毒消しの手掛かりをなくすわけじゃぞ。それでもあんたは俺を見殺しにするのか?」




才蔵が眉間に縦皴を寄せてから答える。





「例えばそうなったとして、わしが前田勢の間者に加担し助けたとあらば、わしは裏切り者、同門を破門され、そなたと同罪打ち首獄門に成りかねない。わしはそこまで愚か者ではないわ」






男がせせら笑うように方頬を歪め言った。




「死人に口無し、俺が打ち首獄門になったら、あんたは唯一掴み掛けた手掛かりをなくすわけじゃ。本当にそれでも良いのか?」




才蔵が眼を細め断言する。





「仲間を裏切るわけにはいかない。それだけじゃ」




男がせせら笑い、含んだように言う。




「しかし俺が間者だと発覚した場合は、その俺を連れて来たあんたにもその時点で嫌疑はかかるのは必定。つまり既に潜入した時点で俺とあんたは同罪となるわけじゃないか?」



才蔵が言下に言ってのける。





「わしは一向衆門弟。正直に事を明かし、申し開きすれば許される」





男がしたたかに言う。





「しかしあんたは手掛かりは失うわけじゃ。改めて手掛かりを見付けるのは難儀じゃしな。だからあんたは俺を助けるしかないわけじゃ、違うかのう?」




才蔵は男の言葉を脚下する。





「いや、そうなった場合、わしは改めて手掛かりを探す。仲間は裏切らない。それだけじゃ」





男が苦笑いを浮かべ言う。





「まあこの話しはあくまでも俺が間者であるというのが発覚した場合のものだし酔狂みたいなものだしな。俺は単なる可哀相な非人で間者でなんかないし。もし仮にそのようになった時はよろしゅう頼むぞの期待かけ、酔狂じゃからのう、よろしく頼むわ」

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