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戦国哀歌46
綾、無理をしないで身体がしんどい時はわしに言ってくれと、長老は言った。
熱が下がり、綾の病状が回復した。
開口一番綾は寝ぼけながらも幸助の身を案じこう言った。
「床擦れはどうじゃ?」
長老が顔をほころばせながら言った。
「大丈夫じゃ、綾。床擦れは悪くなっていない。それよりも綾、熱が下がって良かったのう」
綾が長老に向かって合掌し念仏を唱えてから言った。
「有り難う、長老。それよりも私はどれ位寝ていたのじゃ?」
長老が綾の身体を冷やした手ぬぐいを型付けながら答える。
「丸一昼夜と言ったところじゃのう」
その言葉を聞き、綾がもう一度合掌して、深々と頭を下げ、言った。
「本当に面倒懸けたのう、長老。これからは又以前のように私が幸助の事面倒見るから、心配しないでくれ」
長老が慈しむように微笑み言った。
「いや、これからはわしも頻繁に顔を出すから、綾は余り無理をせんと、身体がしんどい時は遠慮なく言って欲しいのじゃ。まだまだ幸助の看病は道中長いし、何と言っても身体が資本じゃからのう」




