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戦国哀歌4

村の長老に会うべく、綾と幸助は歩き出した。

物憂い顔付きをしてから幸助が言った。





「綾、今日から寺の詰め所で寝泊まりしてはくれまいか?」





綾が束の間戸惑いの表情を作った後言った。




「奇襲に備えての準備か?」





幸助が相槌を打ち答える。





「そうじゃ。僧正にはわしがその旨話しをつけ、よしなにせよとの事じゃからの」





綾が同意する。





「分かった。身の回りのものだけ持参して今日から詰め所に詰めて、私も前田勢を迎え撃ち眼にもの見せてやるわ」





意気軒昂な綾の勢いに気圧され、幸助がたじたじとなり、苦笑いしてから言った。





「いや、綾はわしが護るから、寺の奥向きの事を手伝って欲しいのじゃ」




綾が大きく頷きはしゃぐように言った。





「相、分かった」





幸助が弾けるように笑い、綾もそれに倣い笑った。





対信長戦で、信長勢に肉親を惨殺され、失った一向衆門徒の数は増加の一途辿っている。





綾と幸助もその例に漏れず、戦禍で肉親を失った所謂みなし子であり、その境遇が二人の慕情、絆を強固なものにしているのは間違いない事実と言えよう。




笑うのを止め、幸助がおもむろに言った。





「これから長老の処に行き、軍略を授かるのじゃが、綾も一緒に行こう」





綾が相槌を打ち、二人は昼下がりの田園風景の中を、軍師たる村の長老に会うべく、歩調を合わせて歩き出した。

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