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戦国哀歌35

毒消しの手掛かりを求めて、才蔵は男に干し芋を与えた。

川の辺。




才蔵がぞうのうから出した干し芋を男が貪るように食す。




その様子を目の当たりにして、才蔵は尋ねた。





「ずっと食っていなかったのか?」





ほうはつで黒ずんだ顔をした貧相丸出しの男が答える。




「昨日からじゃ。腹が減っては物乞いも出来んからのう。かっぱらえば、袋だたきに会って殺されちまうしの。あんたは福の神じゃ」





風が吹き、川面にはさざ波が立っている。それをやんごとなき眼差しで見詰めながら才蔵は言った。




「お主、その着物は何処で手に入れたのじゃ?」





薄ら笑いを頬に浮かべて男が答える。





「白拍子とねんごろになった時、かっぱらったんじゃ」





才蔵は苦笑いを浮かべつつ、長老の一人の男が毒消しの手掛かりをもたらす旨の話しを頭に描きながら、話しを続ける。





「よく捕まらなかったの?」





男が愉快そうに一声笑い言った。





「白拍子仕事で疲れ、眠っていたからの。たやすいものじゃた。しかしこの着物も汚れちまったし、この川で洗濯がてら水浴びと行くか」




そう言い、男が鞋を履いたまま川に入って行き、水浴びを始めて、大声を出した。





「おお、冷てえな。でも気持ちいいわい。あんたも来いよ?!」

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