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戦国哀歌29

幸助の身体を拭きながら、今この時こそが極楽浄土なのだと、綾は感じた。

床擦れを防ぐ為に幸助の身体を手ぬぐいで拭きながら綾は思う。





今この時こそが至福の時なのだと。





幸助に意識は無い。





だが幸助は戦場には行かず、今自分の中で、赤子のごとく自分に身を委ねている。





幸助の身を懸命に介護する事は、そのまま幸助の命と自分の命が重なる至福の時なのだ。




命添い遂げる夫婦の至福は今この時なのだと綾は実感しながら幸助の身体を拭き続ける。




そして御仏に全てを委ね、懸命に介護するその慈しみを命と為し、幸助に注ぎ込み、幸助の命を甦らせて見せると綾は念じる。




御仏の慈しみの中で、幸助と自分の命は正に一つとなり、今を生きるこの至福の時を、幸助の命に注ぎ込んでいるのだ。





そしてこの至福の時を念仏と為し、我が身は幸助の命の息吹を感じながら極楽浄土へと赴けるのを綾は実感する。





例えこのまま自分の命が滅しようとも、懸命に介護する至福である夫婦の絆は、幸助の命を甦らせると綾は確信する。




今自分の身は幸助を懸命に介護するその事に依って極楽浄土にあり、夫婦の絆を再確認しているのだと。





そう綾は思った。

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