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戦国哀歌28

才蔵は自分の恋心を念仏を唱える事で滅して行った。

恋にならないと才蔵は思った。





何時死ぬか分からない自分に恋をする権利は無いと才蔵は断じる。




死に温もりは感じない。





その冷たさの向こう側に極楽浄土の温もりがあるにしても、死の冷たさからその温もりを感じる事は自分には出来ないと才蔵は感じる。




だから。





温もりなき死に恋をする事は出来ないと才蔵は思う。




我が恋の成就は苦しみ多きこの肉体から解放され、陰陽が逆転し、死の冷たさを温もりと体感出来た時にしか訪れないだろうとも才蔵は感じる。





極楽浄土に赴いた時にこそ、慶びに溢れた恋は成就するのだ。





手と手が合わさるように、綾と自分は一つとなり、それが合掌を為し、念仏の極楽浄土に至る恋。





そこには御仏の見守る中、幸せに満ちた温もりだけの境地があると才蔵は思う。




苦悩なき涅槃の恋こそが真の恋だと才蔵は自分に言い聞かせ、念仏を唱える。





それが煩悩からの解脱であり、現世での哀しみを、来世での慶びと成す念仏の境地なのだと。





そう思い、才蔵は自分の恋心を念仏で滅して行った。

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