26/250
戦国哀歌26
現れる男が毒消しの手掛かりとなるであろうと、長老は言った。
才蔵に向かい長老が言う。
「一人の男が現れる。その男が毒消しの手掛かりとなるじゃろう」
胡座をかき、鎮座している才蔵が神妙な顔付きをして尋ねる。
「その男が毒消しをもたらすと言う事ですか?」
暫しの間を置いてから長老が答えた。
「いやもたらすわけではない。手掛かりとなると言う事じゃて」
才蔵がしきりに頷き再度尋ねる。
「どんな男でしょうか?」
長老が難しい顔付きをしてから答える。
「男と言う事しか分からない。ただその男はそなたを苦しめる。それは定めと心得て欲しい」
才蔵がゆっくりと息を吐き出し、言った。
「それは勿論敵なのですね?」
長老が腕を組み答えた。
「それは分からぬ」




