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戦国哀歌25
幸助を甦らせるのが、私の信長めへの意趣返しじゃと、綾は言った。
才蔵が言う。
「生きる屍か。しかし恐ろしい毒薬じゃのう」
綾が相槌を打ち言う。
「信長めは我等同門衆に死ぬ恐ろしさを教えてやるとほざいておるしの。その目的にこの毒薬は適っているわけじゃ」
才蔵が忌ま忌ましい表情を顕にし言った。
「生かさず殺さずの地獄か」
綾が恭しく頷き答える。
「その通りじゃ。だが幸助は痩せ衰えてはいるが血色も良く、仲間に支えられ、到底地獄にいるとは言えないわけじゃ。そして私は必ず幸助を甦らせて見せる。それが私の信長めへの意趣返しとなるのじゃ」
才蔵が再度綾を労う。
「その意気じゃ」




