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戦国哀歌240

初夏の蒸し暑い夕暮れ。影が幸助を促し、光秀の軍勢と合流するべく出陣した。

初夏の蒸し暑い夕暮れ、影が幸助を促し小隊を率いて光秀の軍勢と合流すべく進軍する。




軍馬に跨がっている影が傍らを固める黒い甲冑姿の幸助に言う。





「この合戦がわしの最期の合戦となるべく、そなたはわしの首を撥ねてくれよ。頼むぞ」





心ここに非ずで、乱心し瞬きを余りしない幸助が答える。





「御意」





馬上の影がどす黒く微笑み言った。




「明智殿はわしの画策に乗り、決起したのじゃ。謀反の志しが漏れるを恐れ味方陣営の者を闇から闇へ葬るべく、わしが刺客を差し向けた次第よ。これでわしは御公儀様たる信長公への謀反に加担した由に付け、わしは反逆の徒然となったわけじゃ。然るに反逆者の首、そなたが見事撥ねてくれ。それがわしの信長公に対する忠勤の証、裏切りの信条なのじゃ。頼むぞ」




幸助が抑揚の無い無機質な声で答える。





「御意」





影が愉快そうに微笑み続ける。





「わしは信長公に裏切りの忠勤を示すべく生まれた男なのじゃ。毒を以って毒を制するの諺に則り、わしは裏切りを以って裏切りを制し、信長公を一向宗の外道共が唱える極楽浄土に連れて行ってやるのじゃ。その裏切り反逆こそが、信長公に現人神たる愉悦を与え、未来永劫の天下人の地位を与えるのじゃ。これで信長公は押しも押されもしない、真の裏切りの天下人になれるのじゃ。そなたわしの首、見事に討ち取ってくれよ。頼もう」

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