24/250
戦国哀歌24
才蔵は綾に密かに恋心を抱いている。
才蔵が綾を労う。
「大変じゃの」
綾がいたわる目付きで幸助を一瞥してから答える。
「全て慣れじゃ。排便するのも、床擦れ起こすのも、生きている証拠じゃし、そう考えると、どうという事はないのじゃ」
才蔵は心根の部分で綾を慕っている。だがそんな恋心おくびにも出さずに応対を続ける。
「薬草は悉く効かずじまいか?」
綾が相槌を打ち答える。
「傷口はもう癒えていて、薬草を塗っても意味は成さないしの。飲ませても少量しか施せないし、効能があるかどうかも定かではないのじゃ」
才蔵が注釈を入れる。
「苦い薬草ならば飲まないのか?」
綾が短く笑い相槌を打てから言った。
「いや、飲ませてはいる。じゃが少量しか飲まないので効能が定かではないのじゃ。と言うよりは薬というのは少量でも飲み、それを継続すれば効く筈だから、やはりどの薬草も効いてはおらぬのじゃ」




