戦国哀歌238
長老が幻術を用いて乱心する幸助の心を操る。
深夜。
長老の醸し出す石ころの向き方位方角が声となり、幸助に語りかけ、幸助の心を操る占術の妙が効果をもたらして行く。
長老が言う。
「自害などしたら、憎き親殺し、綾への敵討ち遠ざかってしまう事は明らか。分かっておろう、幸助」
乱心している幸助が笑いながら答える。
「そうじゃのう、自害などしたら、おとうの敵討ち出来ず、わしは極楽浄土に赴く事能わずになるしのう」
長老が幸助の狂気を撹拌し、カオスと成す分、幻術の妙を微調整して逆に石ころの方位性を整合させながら、語りかけアプローチして行く。
長老が綾の声を重ね言う。
「幸助、お前ごとき若輩者に敵討ちなど到底無理じゃ。刀を持てないそなたが、どうしてわしを討てるのじゃ。しゃらくさいわ!」
挑発された幸助が闇に向かって独り喚く。
「うるさい、わしは見事お前の首討ち取り、おとうに見せてやるのじゃ!」
綾がせせら笑う。
「やれるものならやってみろ!」
幸助が眼を剥き怒鳴る。
「わしはやってやる。必ず皆殺しにしてやる!」
綾がもう一度せせら笑う。
「歩く事もまともに出来ないくせに、しゃらくさいわ!」
「うるさい。腐れ外道、黙れ!」




