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戦国哀歌236
光秀は迷い苦悩する。
光秀は考える。
信長公は自らの包囲網を力攻めとその力の誇示に依る圧力、敵の懐柔、状況推移を窺いながらの和睦を成し、突破して来た。
それは一重に重臣達の労を惜しまぬ忠勤に依るところが大きいのも確かだと光秀は思う。
じゃがと光秀は考える。
その忠勤に対して信長公は感謝するどころか、癇癪を暴走させ報いている。
意味不明な理不尽としか言えない癇癪の暴走は粗暴な暴力となって、我が身を痛め付け苛んでいる。
母を殺された過去の経緯。
信長公に対する怨嗟も我が心の内に巣くっている事は確かだと光秀は思う。
だが信長公はわしを取り立てて重臣の地位まで与えてくれた恩人。
謀反など興す言われもないと光秀は翻意するのだが、迷いを打ち消す事も出来ず、光秀は苦悩のままに独りごちた。




