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戦国哀歌230

信長暗殺よりも極楽浄土が第一義だと闇の幸助は言った。

手を小刻みに痙攣させながら幸助が続ける。





「もう楽にして欲しいのじゃ、御かあよ。わしはもう刀も持てない由に付け、極楽浄土で御身に会うても、刀は持っていないしのう。御身の首を撥ねて進ぜる事能わずじゃ」




長老と綾の声が重なり闇をつんざく。





「しっかりしろ、幸助!」





幸助の身体が闇に溶けて行き、ぼやかすように影となって答える。




「わしはもう再起不能。やがて寝たきりとなり、永眠する由じゃから、信長暗殺など無理難題の極みじゃて」




綾が怒鳴る。





「うるさい、幸助を乗っ取るな。闇は出て行け!」





幸助たる影がうそぶく。





「わしは幸助の心の臓故、幸助に非ず。闇の幸助なり」





長老が言下に言う。





「悪霊退散!」




幸助が嘲笑い言う。





「わしは辛い現世から極楽浄土に行きたい由に付け、それを主張する事の何処が悪逆非道だと言うのじゃ。わしの名は悪霊に非ず、わしの心は御仏の志しなり」




綾がもう一度怒鳴る。





「悪霊を悪霊と言って何処が悪いのじゃ?!」





影たる幸助が答える。





「わしにとっては、わし自身が御仏の下に赴き、極楽浄土を体現するが肝要。信長暗殺の唯々など第二義に過ぎない由」





長老が念を押す。




「さに非ず。信長暗殺あってこその極楽浄土よ」




幸助の闇が揺れながら言う。





「極楽浄土が第一義じゃ」

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