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戦国哀歌23
床擦れが一番難儀じゃと、綾が言った。
才蔵が幸助の見舞いがてら詰め所を訪れ、雑賀衆と合流し、決戦に赴く旨を綾に伝えた。
才蔵が続ける。
「長老にも依頼され道中毒消しを探すので、決戦云々よりも当面そちらの方が主だった任務となるから、その間幸助の事よろしく頼む」
綾が合掌をなし念仏を唱えてから答えた。
「万端滞りなく」
才蔵が尋ねる。
「幸助の容態はどうなのじゃ?」
綾が頼もしい感じを顕に答える。
「生きる屍状態は変わらず、排便と食事の繰り返しじゃ。おむつの面倒を見るのも、最初は臭いに辟易としたが、慣れてしまえばどうという事は無い。私が寝ている時は仲間が交代で見ていてくれるしの。まあ一番大変なのは床擦れじゃの」
才蔵が訝る。
「床擦れとは何じゃ?」
綾が答える。
「身体が麻痺して動かないから寝返りを打てず、身体が床についている部分が黒ずんで来て膿み、放置しておくと腐ってしまうのじゃ。だから寝返りをこちらが打たせるしかないのじゃ」




