表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/250

戦国哀歌229

もう楽にしてくれ御かあと、幸助は涙ながらに言った。

綾の声が長老の声に変わった。





「幸助よ、しっかりとするのじゃ。そなたはのう、信長暗殺の為に僧正を討ち取ったのじゃ。僧正はそなたにしてみれば、正に親子に等しいからのう、そなたが乱心する気持ちは重々分かるのじゃが、それでは僧正の気持ちが浮かばれないのじゃ」




幸助が狂った笑みを湛えたまま言った。




「長老、綾はどこにいるのじゃ。綾を出してくれ、長老?!」





長老が答える。





「綾はわしが面倒を見ておるから心配するには及ばない。お前は気をしっかりと持って、わしの命令通り信長暗殺に向けて精進するのじゃ。幸助よ」




幸助が泣き笑いの顔をして答える。





「そうか綾は無事なのじゃな。その言葉を聞いて安心したわ。わしはこれで心置きなく自害、綾と一つになれるわ」





纏わり付く闇を切り裂くように長老が怒鳴った。





「違うのじゃ、幸助。死んではならぬ!」





幸助が乱心そのままの呈で笑い続けた後悲しげに言った。





「長老、わしはもう身体が痺れて動かないのじゃ。もう楽になりたいのじゃ。長老、分かってくれ」




長老の声と綾の声が重なり、空が割れるように大声を張り上げた。




「死ぬな、幸助!」





幸助がピエロのような顔付きをして言った。






「もう楽にしてくれ、御かあ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ