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戦国哀歌224
居間に、綾の力強い励ましの言葉と共に朝日が差し込んで来て、幸助はまどろみから眼を覚ました。
幸助が尋ねる。
「綾、お前は何処にいるのじゃ?」
茜色の空に、曙の色合いが滲み、日が昇る事を指し示しながら、綾が力強い口調で言った。
「わしは長老のところにおるんじゃ。眼は覚めていないが死んではおらず元気でいるのじゃ。だからのう、幸助死んではならないのじゃ。わしと共に信長の素っ首叩き落とすのじゃ。幸助よ!」
幸助が乱心する笑いそのままに一声笑い、尋ねる。
「綾よ、それは真か?」
燃える炎のごとく曙にかき抱かれ、希望が燃え盛るように綾が答える。
「わしは生きておる。又今晩来るから、幸助よ、自害するなど考えずしっかりするんじゃ!」
その声が耳をついた直後、居間に朝日が差し込んで来て、胡座をかき、目の前に短刀を置いて眠っていた幸助は眼を覚ました。




