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戦国哀歌223

綾、お前は空になったのかと、幸助は言った。

闇の影がうそぶく。





「どうじゃ。お主が両親を殺し、綾を殺したは必定。その罪悪感が自害ならば、自害こそが正に極楽浄土そのものではないか。早うせい」





幸助が笑い一度涙を拭いてから言った。





「そうじゃのう。わしが両親を殺し綾を殺したのは定めに付き、その刃で我が命断つは、極楽浄土で皆と一つになる事と同義じゃからのう」




綾の顔が茜色の空にぼんやりと輪郭を顕し言った。





「信じるな、幸助。お前は両親など殺してはおらぬ!」





幸助が畳の上に落ちている鞘に短刀を納め虚に笑い言った。





「綾、空に行ったのか。そこは極楽浄土ならば、わしも空になりたいわ」





居間の燈籠を境目にして上に茜色の空のごとく綾が浮かび、幸助の後ろには晒し首の髑髏が悲しげに血の涙を流しながら漂っている。





それを闇の影が侵食するように少しずつぼかしながら言った。




「そうじゃ。極楽浄土は天空の彼方。早う行くがいい」





幸助には見えない筈の鞘に納めた刃が茜色の空に変わり、綾の声となり喋り出した。




「駄目じゃ、幸助。わしは極楽浄土などにはいない。信長暗殺を図る為にも死んではならぬ、幸助!」

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