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戦国哀歌221

情景が綾の炎を消すように逆戻りして行き、幸助は燃え盛る寺の中、刀を持って僧服を着たおとうの首を撥ねつつ、返す手で弓を操り、炎の中に漂っている髑髏の蝋燭たる綾を射ぬき、熱い涙を流して慟哭した。

燈籠が父親の髑髏に変化して、もどかしくも蝋燭の姿と二重に重なりながら青光する怪しい炎となり、綾の声を出して行く。




「幸助よ、死ぬでない。幸助よ、お前は親殺しなどしてはおらぬ。お前はわしを殺したりはしていないのじゃ。幸助よ、眼を覚ませ!」





影の手が風となり、髑髏の蝋燭を塗り潰すように掻き消し、再度念を押す。




「亡霊に騙されてはならぬ。早く心の臓を突くのじゃ」





幸助が泣き笑いしながらも、尋ねる。




「綾、そなたは生きておるのか?」




闇に浮かんだ髑髏の蝋燭が炎となって、その明かりがおとうの晒し首の滴りとなり流れ、綾の声を醸し出す。



「わしは生きておるのじゃ。幸助よ、わしの言葉を信じろ!」




情景が綾の炎を消すように逆戻りして行き、幸助は燃え盛る寺の中、刀を持って僧服を着たおとうの首を撥ねつつ、返す手で弓を操り、炎の中に漂っている髑髏の蝋燭たる綾を射ぬき、熱い涙を流して慟哭した。

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