22/250
戦国哀歌22
僧正が才蔵に、雑賀衆を加勢して信長との決戦に臨んで欲しいと下知した。
僧正が才蔵に下知する。
「雑賀衆に加勢して信長との決戦に臨んで欲しいのじゃ」
才蔵が合掌し相槌を打ち言った。
「かしこまりました」
物憂い目付きをして、才蔵を労いつつ僧正が続ける。
「途中、前田勢の領地に入るのは必定。ならば幸助の病治癒を図るべく、毒消しの薬草の在りかを探索してはくれまいか?」
才蔵が尋ねる。
「それでは雑賀衆との合流、遅れる由となりますが?」
僧正が答える。
「二月の猶予は見ている。幸助を救ってやって欲しいのじゃ」
才蔵が相槌を打ち、覚悟の程を決めて言った。
「間者として敵地を探索し、信長との決戦に臨むとあらば、当然この命滅する覚悟で赴きまするが、その時は幸助の事、仲間の事、何卒よろしくお願い致しまする」
情け深い才蔵の配慮に痛み入る形で、僧正が礼を尽くし合掌してから言った。
「そなたの無事を御仏に祈願する由に候」
才蔵が深々と頭を垂れ、合掌して返礼した。




