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戦国哀歌210

幸助に死んではならぬと励ましの念を送り、長老は涙を拭い、念仏を唱えた。

面倒見が良く、信者の誰もが頼りとしていた優しい僧正は、この日が来るのをまるで予期するかのように、非業の死を遂げた。





綾の傍らに座し、一人涙を流しながら長老は考える。




僧正の死は影の心を操る呪術を助長する力そのものなのだが、反面その死に依り幸助が受けた悲しみのダメージは計り知れない。





その計り知れない深い悲しみの心の傷を辛抱、耐え抜かなければ、幸助は思い詰め自害してしまうに違いない。





幸助が心病み、自分を親殺しの大罪人と断じ自刃すれば、影を操る人柱の呪術も全て頓挫、水泡に帰してしまう。




僧正の無念を晴らし、その魂に極楽浄土を齎すものは、信長暗殺のそれしか無いのだが、その死の悼み重さに耐えられず、幸助が自害してしまえば、信長暗殺の望みは潰えてしまうことわり。





深い悲しみを喜びに変えることわりを何が何でも成就させるべく、長老は熱い涙を指で拭い、幸助に死んではならぬと励ましの念を送るように合掌を為して、瞼を閉ざし、ひとしきり念仏を唱えた。


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