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戦国哀歌209

焼け跡に佇み、僧兵は嗚咽した。

骨を拾うべく焼け跡に赴いた僧兵が落胆して肩を落とす。




首の無い遺体は誰の物なのか分からない程に全て焼け爛れ、炭化している物もあり、その遺体から白い煙りが上がり、辺り一面に漂っている。




僧正警護の僧兵は熱い涙が溢れ出るのを禁じ得ず、そぞろ泣き、その涙を手の甲で拭いながら、伽藍が在った辺りを足元に気をつけながら探索して行く。





僧正の痕跡を残す物も全て焼き尽くされ、原形を留める物とてない。





焼け跡の静けさは、生きていた者達のその記憶、息吹を全て飲み込んだまま、絶望と悲しみを湛えながら横たわっている。





焼け残った三体の仏像が焼け焦げた建材と灰に埋もれるように倒れているのを横目で見遣りながら、僧兵は煙りが燻っている足元を蹴り、何か原形を留めた形見の品はないかと探すが、何も見当たらない。




生きていた者の痕跡が跡形もなく消え失せている事柄は堪らなく寂しく、涙をそそり、僧兵は嗚咽する。




僧正の情け溢れる優しい声を思い出し嗚咽する。





父を失って、みなしごになり悲しみに暮れる少年のように、あられもなく涙を流し、僧兵はうづくまって涙をぽろぽろと流し、泣きじゃくった。

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