表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/250

戦国哀歌203

影が軍勢で寺を焼き討ちにすると言い出し、幸助は胸騒ぎを覚えた。

旅籠に帰還した影が言う。





「本日はご苦労であったのう。わしも子供を毒矢で射ぬいたのは初めてであり、なかなかに痛快な所業であった由にて、あの子供がどのような症状を示し、生きる屍になるかは興味津々じゃ」




心を死に体にして、完全に閉ざしたまま、幸助が答える。





「御意」





燈籠を左手にして、膳を平らげてから、影が続ける。




「わしは明日我が軍勢と合流し、規模の大きな掃討戦に着手するつもりでおるのじゃ」




食欲は無いが、影の手間食さねばならない流れなので、幸助もつつがなく膳を平らげ礼を尽くしながら話しに耳を傾けている。




影がその幸助の仕種を鷹揚に愛でながら続ける。




「ここから十里程の処に一向宗の寺があるのじゃが、その寺は防備が堅牢、道場を有する寺並に強く、火矢を射かけても落ちないのじゃ。そこで数を頼み軍勢を頼り、焼き討ちにしたく、そこの僧正をそなたの刀で討ち取ってくれぬかのう?」





影の口にした位置から類推して、その寺は自分の寺ではないかと不意におもんばかり、幸助は狼狽し、胸騒ぎを覚え、心が散り散りに乱れて行くのを感じ取りながらも、平静を装い言った。





「御意」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ