戦国哀歌2
種子島の脅威?
進取の気性を以ってする信長の気質から鑑みて、信長に対抗する勢力を旧態依然とした古いものとするイメージがある。
だが一向衆は当時稀有とも言える民主主義を基調とする体制を敷き、門弟達が各々意見を酌み交わし、事を決め、運営して行く風潮さえも作り上げていた。
そんな自由闊達な風潮の中で幸助と綾は、お互いの慕情を募らせていた。
綾が言う。
「前田勢は我が同門を捕らえ、見せしめの為に釜茹でにしているというのは本当の話しなのか?」
幸助が恭しく相槌を打ち答える。
「その通りじゃ」
綾が遠くに煙るように見える山並みを一望し切ない顔付きをして言った。
「何て惨い事をするんじゃ…」
幸助が相槌を打ち息を吐きだしてから言った。
「信長めは我等同門の者に死ぬ事の恐さを教えてやるとほざいておるのじゃ」
綾が瞬きを繰り返し、眼を細めてから言った。
「我等同門は死んで極楽浄土が約束されている事への当て付けか?」
幸助が相槌を打ち答える。
「そうじゃ。生きたまま釜茹でになる地獄がそのまま死後にも繋がると言う思惑じゃろうて」
やんごとない表情を作り綾が言った。
「是非も無い…」
幸助が憂いを湛え言った。
「次の砦戦に敵方は種子島を大量に使うという話しじゃ」
綾が驚く。
「それじゃ、我が同門に勝ち目は無いではないか?!」
幸助が顔を左右に振り言った。
「雑賀衆の者が加勢に来るとの事じゃ」
綾が言う。
「じゃが、いくら鉄砲の名手でも、砦戦は不利じゃないのか?」
幸助が答えた。
「いや、鉄砲には鉄砲じゃろうて」