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戦国哀歌198

信長公を非道残虐だと罵る方が非道じゃと、影は言った。

影が続ける。





「わしらの役目としては、そなたが刀にて打ち首を行い、わしはその首実検をする由に付け、間もなく信長公から使いが来るわ」




影が己の小姓に人払いを命じてから、間を計りつつ続ける。




「荒木村重は秀吉傘下の者達、概ね懐柔策の巧みな黒田辺りが懐柔を促すじゃろうが、今は下剋上の世情故、懐柔をも裏で寝返り、荒木村重に信長公はけして裏切り者を許さないとの囁きを為す者が現れるのも必定。然るに荒木村重は逃亡し、捕縛され斬首されるが落ちならば、そなたが素っ首討ち取るのは荒木村重本人になるやかもしれぬが、いずれにしろ首実検は必要なので、お呼びが掛かるのは時間の問題じゃ」





心病み、憔悴し切った幸助が、それでも気力を振り絞り、平伏して返事を返す。





「御意」





影が愉快そうに黒く微笑み続ける。




「例えば下剋上の世情にあらず、世が平治の時代相ならば、上からの命令系統は滞る事なく下まで届いて行く由じゃが、下剋上の世情ではそこに裏切りの横槍が入るのは至極当たり前必然であり、それを一々迎合、許していたならば命令系統全体が崩壊してしまうからのう。即刻討ち首獄門が適しており、それを信長公は非道、残虐と罵る事は、逆の意味で非道だと、わしは思うわけじゃ。そちもそう思わぬか、どうじゃ?」




左足つま先の痺れを自覚しつつ幸助が応じた。





「御意」

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