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戦国哀歌197
荒木村重寝返りの報を聞き付け、影が悦んだ。
伝令から海戦戦勝の報が届き、信長陣営は海戦での敗戦続きの屈辱を晴らし覆す、その大勝の報に喜ぶのも束の間、信長本陣に荒木村重寝返り謀反の報が齎された。
信長は臍を噛むも、冷静沈着に身構え、荒木村重の懐柔策を講じ、各方面隊の指揮官を呼び、戦略の再考を期して行く。
その荒木村重寝返りの報を聞き付け、影がほくそ笑み悦び、幸助に言う。
「不謹慎かも知れぬが、この寝返りは痛快そのものじゃのう。懐柔策など絵空事。信長公は一度裏切った者はけして許さない気性故、荒木一門は閉門、一族郎党打ち首獄門、晒し首が見えておるわ。見物じゃのう。我ら間者は裏合戦たる影を支え、諜報凋落の任務が第一義なので、その殺戮現場に立ち会えないのが残念じゃ」
 




