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戦国哀歌195

朝廷、仏法の権勢治世が普遍だからこそ、逆に上様の天下布武も成し得る由に候えば、かくのごとし世情なり。然るに朝廷、石山の御坊を損なう事は意にそぐわないのがわしの本心、心情じゃと、明智光秀は言った。

戦場は狂気、カオスの坩堝と言えよう。





その狂気こそが乱世であり、下剋上の天下人は、そのまま戦国武将の垂涎の的となり、裏切りこそが正義、忠節は悪となり、平治の正当な上下の掟を遵守する者は大うつけとなる時勢、下剋上の心こそが美しく輝く。





人を欺く事の隠微性に酔い、裏切る事をひたすら尊ぶ下剋上の魅力。





忠節の美を破壊する裏切りの美。





下剋上裏切りの心こそがダダイズムのごとく善を凌駕する正義であり、下剋上の心を持ち合わせていない武将は武将にあらずの狂気性。




信長を取り巻く戦国武将ほぼ全員が面従腹背、下剋上の正当なる美意識を戦場の狂気が移行した狂気とは認識せずに持ち、表の顔で従い、裏の顔で寝首をかく夢を育み、財を為すべく、寝首をかく振りをしながら裏の裏で奴隷商人よろしく民を売り捌いていた輩の集団だった事が窺い知れる。




背信、裏切りこそが美徳、力の誇示だったそんな時勢に在って、義を重んじる武将明智光秀が居間に鎮座し息を吐き出しつつ、小姓に言った。





「朝廷、仏法の権勢治世が普遍だからこそ、逆に上様の天下布武も成し得る由に候えば、かくのごとし世情なり。然るに朝廷、石山の御坊を損なう事は意にそぐわないのがわしの本心、心情じゃ」




小姓が平伏し応えた。





「御意」

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