表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/250

戦国哀歌194

僧兵頭は裏側の諜報戦争に着目し、影と対面を図った。

以前、雑賀鉄砲衆が信長勢に組みした経緯を思い出し、そのつてから裏側の諜報戦争に僧兵頭は着目しまさぐって行った。





石山本願寺の根来衆配下の密偵を通じて、信長の諜報集団に食い込むべく触手画策し、功を奏して、僧兵頭は鉄砲の腕前を前面に押し出し、影と対面を計り、適う運びとなって、滞りなく対面した。




小姓一人をはべらせ、上座から影が鷹揚に言った。





「そちは相当鉄砲の腕が立つらしいが、刀の方はどうなのじゃ?」





僧兵頭が平伏して答える。





「それなりに御座りまする」





影がにんまりとしてから言った。





「ならば、わしの首討ち取って、その皮一枚残し、ぶら下がったところを鉄砲で撃つ曲芸はどうじゃ?」





何かしらの信条を試されていると判断し、僧兵頭は平伏したまま答えた。





「一度試してみたい技にござりまする」





影が愉快そうに笑い言った。





「我らは影の諜報集団、言わば寝首をかくのが仕事じゃが、わしの首を撥ねる裏切りの信条、そちにあると見たわ。鉄砲で寝首をかく、その技大いに役立てて、我が寝首討ち取り裏切り諜報集団の育成を図ってくれ。我ら人の眼を盗む影の諜報集団なれど、敵の眼を欺き撹乱、逆に乱す為に戦場にも赴き、寝首を討ち取り、その首実検も致す故、信長公の影となり日なたとなって、俺の首を撥ねる隙を見るように内偵の鉄砲術磨いて欲しい。指南の程頼もうぞ」




この男は自分の本性を隠微な狂気で隠すくせ者であり、油断も隙もない旨を見抜きつつ、僧兵頭は平伏したまま答えた。





「御意」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ