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戦国哀歌191

密偵が長老宅を視界に入れたにも関わらず、見付ける事なく遠ざかって行くのを、僧正警護の僧兵は驚きの眼差しで見送った。

正午。





綾の介護を手伝うべく、僧正警護の僧兵が今にも雨が降り出しそうな曇天の下、畦道をそぞろ歩いて長老の庵に向かっている時、風体定まらぬ密偵風情の輩が前方を歩いているのを目敏く見付け、素早く木陰に身を隠した。





その男は畦道を真っ直ぐに長老宅の方へと向かって行く。





僧兵は脳裏にある考えが閃き、その男の様子を観察するべく忍び足で尾行を開始した。




そして次の瞬間信じ難い異変が起きた。





男の位置からすると、正面に見えている筈の長老の庵を、男は確かに視界に入れたにも関わらず、男はやり過ごし、まるで見えなかったごとく、手前の畦道を迂回、左に曲がって遠ざかって行ったのだ。





その様子を逐一観察見届けてから、木陰に隠れている僧兵は畦道に出て男が遠ざかって行くのを息をつめて見送りながら、瞬きを繰り返し、首を傾げつつ、狐に化かされたごとく神妙な顔付きをして、再び歩き出した。

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