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戦国哀歌189

雨が幸助の悲しみを運び、長老は薬草を煎じながら、万感胸に迫り、震え、むせび泣いた。

雨の音が悲しみを伝えて来る。





消えかけている燈籠の明かりが眠り続けている綾の姿を映し出している宵。





幸助の苦悩悲しみを受け止め、釜戸で薬草を煎じながら長老が涙を流す。





仲間達を非業の死に導く宿命を一身に背負い、その塗炭の苦しみ苦悩に、自刃して果てる事をも許されず、人知れず泣く事でしかはらせない幸助の心情。





信長暗殺の大願を願掛けられ、自刃する事も逃げる事も、その苦悩を人に打ち明ける事もままならず、孤立無援の状況を辛抱強く耐え抜くしか生きる道が無い幸助の心情。





それを思うと、長老は万感胸に迫り、流れ出る涙を止める事が出来ない。




どんな薬草を煎じ飲ませても、綾は目覚めない。





だが長老は希望を捨てず、苦しみに耐えている幸助に報いるその為にも、必ずや綾を甦らせて見せると、ひたすら己を奮い立たせる。




泣く事で辛うじて命の息吹、その琴線命脈を保っている幸助の悲しみが震えとなって伝わり、長老は胸を震わせ、むせび泣く。




そんな崩れ落ちそうな幸助の心に一縷の望み、希望の明かりを燈すのは、正に綾の甦る事、それしか無いと長老は念じる。




その祈願、激励の念じを長老は雨に託し幸助に伝えるべく、合掌を為し涙を拭い念仏を唱えた。

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