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戦国哀歌184

信長公は自分で作り上げた、おのが力の証明である紅蓮の炎に焼かれる定めだと、わしは想うと、影はいみじくも言った。

腰に付けているぞうのうの中の野草の量を確かめる動作をしつつ、影が続ける。




「わしは信長公の気質は好きなのじゃ。天下布武に向けて真っ直ぐに力で押し切ろうとしている信長公は言わば裏切りの権化。例えるならば裏切り大明神のごとく英傑だと想う。じゃがのう。裏切りはこの下剋上の時勢に在って、力で手なずける事は能わずなのじゃ。再三言うが、裏切りを飼い馴らせることわりは、言うならば、下剋上を脱却した掟のみと言って良いだろう。しかしのう、信長公の真っ直ぐに進む力の法則の中には、この下剋上を突き破る掟が宿る宿命は無いのも確かじゃとわしは想うのじゃ。残念ながらのう」




又野草を摘む動作に移りながらも影の饒舌は止まらない。





「信長公は遮二無二力で下剋上を突破しようとして、裏切りの天下人の反発を食らい、裏切りの力に下剋上よろしく翻弄されているわけじゃ。それは明らかに下剋上の申し子たる裏切りの天下人を手なずける宿命を持ってはいないことわりの証明に他ならないわけじゃ。然るにのう、裏切りの天下人を手なずける者はさにあらず、信長公では無いと言うことわりなのじゃ。と言うよりは信長公自体が、己の力で作り上げた、その下剋上の力の化身である業火に依り、焼かれ、自刃するその時が迫るのも避けられない宿命じゃと、わしは思うておるのじゃ」

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