戦国哀歌171
老若男女問わない焼き討ち大量殺戮が行われ、その無残な死体が次々と池に放り込まれて行く。
信長は雑賀衆の鉄砲衆に銃撃され、自身が負傷している。
そして臣下の者も多数射殺の憂き目に会い、臍を噛み、じだんだ踏んで悔しがっている有様であり、その意趣返し執念、気迫がこの対雑賀衆奇襲に顕れていると言えよう。
雑賀鉄砲衆は石山本願寺の傭兵部隊。護りの要であり、信長に取っては最強の強敵と呼べよう。
信長は不退転の思いで雑賀衆殲滅、皆殺しを期して大号令を掛け、全軍出陣させているのだ。
だが、雑賀衆は慣れた自らの陣営で、入り組んだ地形の地の利を利かした狙撃戦を展開しており、畢竟信長の先兵隊は苦戦し、多数の戦死者を出し、一進一退の戦況を強いられている。
それでも大軍に依る急襲が功を奏し、秋葉山周辺の城下町の随所に火の手が上がり、焼き討ち、老若男女問わない血みどろの陰惨なる殺戮が展開しており、その惨殺死体が最寄りの池に次々と無造作に放り込まれて行く。
町中にいる雑賀鉄砲衆の別動隊に奇襲を掛け、刺殺、多数討ち取った幸助も、影の軍勢の配下に死体を随時池に運び、放り込めとの命令を、軋む感情を押し殺して下して行った。




