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戦国哀歌167
焼き討ちに会い跡形も無い町中に、ひしめくように鼻を削がれた腐乱死体がひしめく中を、信長が得意満面で歩いて行く。
炎熱の日だまりの中。
焼き討ちに会い、跡形も無い町中に、鼻を削がれた腐乱死体が積み重ねられ、ひしめくように並び、饐えた臭いが立ち込め、吐き気を催す。
蛆が湧き、蝿が無数に飛び交い、夥しい数の烏が忌まわしい声で鳴きながら上空を旋回している中を、信長が側近の者を従えつつ歩いて行く。
信長は鼻をつまみながら歩くも、得意満面であり、いみじくも側近の者に言い放った。
「全滅じゃのう?」
それに敬意を払いつつ側近の者がかしこまって答える。
「御意」
信長が焼けて煙りが燻る山林を指差し尋ねる。
「山の探索は終わったのか?」
「御意。全滅に御座りまする」
信長が凄みを効かせて下知する。
「とにかく一人とて逃がすでない。皆殺しにするのじゃ」
側近の者が深々とこうべを垂れ言った。
「御意」




