戦国哀歌157
負けた方が死に、鼻を提供する死闘を影が配下に命じた。
自らの陣営に帰り影は配下の者に命じて、鼻採集の数が少なかった者を陣内に集め下知した。
「貴様らは真面目に仕事をしなかった。じゃから罰として、今からこの場で二手に分かれ、短刀を持って白兵戦を行って貰う。負けた方は当然命無く、自らの鼻を信長公に提供するわけじゃ。然るべく健闘を祈る、頑張ってくれ」
有無を言わせず影が号令を掛け、黒い甲冑をつけた兵士が二手に分かれ、青ざめた顔に無念の表情を浮かべ、各自短刀を持ちながらの同士討ち、白兵戦となった。
影が手を挙げて、もう一つの項目を言い渡す。
「相手を殺した者が鼻を削ぎ、わしの処に持ち寄るように、では始め!」
裂帛の気合いを込めて組み手を挑んで来た者の中段突きを右手にかわし、その反動を利して、短刀を相手の喉元に突き刺し、そのまま蹴り倒して、馬乗りになり、心臓に止めを刺してから、返り血を浴び、鼻を見事に削いだ者が、その血だらけの鼻を影の膝元に置き、退場して行った。
影はそれに対して目配せを為し、他の試合に視線を送る。
一人の兵士がパニックを引き起こし、相手に背中を見せ、逃げ出そうとしたところを、すかさず背中から心臓を一突きし、そのまま喉を左手で巻くように締め付け、刺した短刀を回してえぐり、返り血を浴びながら、引き倒して鼻を有無を言わせずえぐり取った。




