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戦国哀歌15

血飛沫を上げながら、足軽の首の無い死体が階段の上から落ちて来た。

随所に火の手が上がり、硝煙の臭いが戦場全体に立ち込めている。




血達磨の才蔵は砦の階上に繋がる階段を見上げ、身構えつつ聞き耳を立てる。





妙に静かだと才蔵は感じた。





外では念仏と絶叫が交錯するように上がり、怒号と喧騒の内にあるのに、一歩砦の中に入っただけで、水を打ったように静寂に包まれているのはおかしいと、才蔵は訝る。




敵が待ち伏せをしていると判断し、才蔵は聞き耳を立てたまま、足音を立てずに、慎重に薄暗い階段を昇って行く。





木で出来た階段は体重を掛けただけで軋む。




その音さえも、自分の在りかを敵に知らせるものだと思わせる苛立たしい静寂の中、才蔵は息をつめ、足を捌いて行く。




次の瞬間、階上で怒号と銃声がほぼ同時に上がり、耳をつんざく断末魔の絶叫が広がるように、首の無い足軽の死体が血飛沫を上げながら階段を上から下へと落ちて来て、才蔵の眼の前でその落下が止まった。




そしてその転げ落ちた死体を追うように、激しい足音を立てながら、階段を降りて来た雑賀衆の僧兵頭が目敏く才蔵を見付け、間髪を入れずに手の平を才蔵に向けつつ、大声を張り上げた。





「上には誰もおらぬ。どうやら敵将は逃げたぞ!」

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