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戦国哀歌146

腑抜けめと、影が才蔵を挑発する。

人を陥れるのを面白がる冷笑を頬に湛え、影が続ける。




「俺はあんたを欺き、陥れ、あんたを死地に追いやった言わば仇。その仇が首を差し出し、撥ねてくれと申し出ておるのに、あんたはそれを信用せず出来ぬのならば、わしは最後の手段に出るまでじゃ」





そう言って影が才蔵に向かって平然と歩き出し、その緊迫感に気色ばんだ才蔵の前で踵を返し、立ち止まって背中を見せ、腰を下ろし胡座をかいて言った。





「さあ、この素っ首叩き切ってくれ!」





言われても才蔵が躊躇い実行に移さないのを焦れるように影が喚いた。




「但し俺は正直痛いのは嫌じゃから、あんたの腕で一瞬にしてこの素っ首叩き切って欲しいのじゃ。尤も俺は痛いと言う気持ちを裏切って、半分痛みそのものとなって、俺自身の悶え苦しむ様を見たい気持ちもあるのじゃが、そんな痛みの張本人になるのはやはり本意ではなく、やはり痛いのは嫌じゃから、刹那で首の皮一枚残さず、撥ねて欲しいのじゃが、どうじゃ?」




才蔵は憎悪のままに首を撥ねたい意向を飲み込むように息を抜き、言った。





「出来ぬ。その前に毒消しの手掛かりを教えろ」




影がその言葉を聞いて、周囲を威圧するように高笑いしてから言った。




「腑抜けめ。あんたは俺の言わば寝首もかけない、大うつけじゃ。下剋上の時代に在って、敵の寝首をかけない腑抜けは、言わば悪、こそ泥、追いはぎの類と同じじゃ。そんな理屈も分からぬのか、大うつけめ!」

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