戦国哀歌128
深夜。裸になった僧兵頭が仲間と共に、疲れを見せている信長の軍勢に襲い掛かった。
野営続きの信長の軍勢にも疲れが見えた頃、仲間と計り僧兵頭が城の外へと出て、刀を片手に執念を以ってほふく前進して行く。
深夜、随所に篝火が焚かれ、見張りの者が警戒怠りなく、交互に号令点呼を為している。
それでも昼間の喧騒に比べれば、眠りの時刻らしく戦場は静寂に包まれている。
見張りの者を注視しながら、軍勢の隙が有りそうな手薄なところまで前進した僧兵頭は、仲間と示し合わせるように僧服を脱ぎ捨て裸になった。
河辺まで突っ切れば、小船がもやってるのを知っている僧兵達が、おもむろに立ち上がり抜刀して走り出した。
「逃がすな!」
「殺せ!」僧兵頭が見張りの者に背後から躍りかかり、刀で心臓を一突きにして、その足軽の首を丸裸になった他の僧兵が撥ねて血飛沫が上がる。
「敵の襲撃じゃ、応戦しろ!」
「起きろ、起きるんじゃ!」
「裸じゃ、丸裸の者に気をつけろ!」
怒号渦巻く中、意表を突かれて、応戦態勢を取れないまま信長の軍勢は次々と惨殺されて行く。
そして篝火の台座を倒して、陣幕を刀で切り裂いた僧兵が不意を突かれ、慌てふためいている信長の弟をがむしゃらに追い詰め、刃で切り裂き、問答無用、首を撥ね、血飛沫が上がった。
「大将首を討ち取ったぞ!」
その怒号に信長陣営に狼狽が走る。
「応戦しろ!」




