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戦国哀歌124
綾が毒消しの探索を自分もしたいと、長老に申し出た。
綾が長老に申し出る。
「この近辺に毒消しの手がかりをもたらす者がいるならば、わしも才蔵さんと一緒に探索したいのじゃが?」
才蔵と行動を共にする事はそれすなわち人柱になるべく暴挙なので、長老は当然、その意向をひた隠しつつ、反対する。
「駄目じゃ。密偵、間者、敵方の軍勢がうろうろとしている折り、女子が出る幕ではないわ」
綾が目くじらを立てる。
「じゃからわしは才蔵さんと一緒に行くと言っておろう?」
長老が首を振り言う。
「幸助は誰が面倒見るのじゃ?」
綾が長老を無遠慮に指差し頑なに言い切る。
「長老がおろうが?」
それでも長老は後に引かない。
「駄目じゃ。才蔵一人で探索を為すからこそ、その間者は出て来るのじゃ。そこのところの理屈を理解して欲しいのじゃ、綾?」
意固地になり、綾も引こうとしない。
「何故じゃ。何故才蔵さん一人じゃなければ、いけないんじゃ?」
長老が苛立つ。
「そうなっておるから、そうなっておるのよ。聞き分けが無いの?!」
綾が顔をしかめふて腐れて言い放った。
「僧正に直談判するわ!」
 




