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戦国哀歌122
大規模な戦に備えて、影は諜報活動に余念が無い。
旅籠の中。
部下を各方面に密偵として送り、自らは指示を出す役割を果たしながら、旅の途中の雲水に身をやつしている影。
内通密偵の効果が上がり、近々この地でも一向宗の掃討戦が行われる運びとなり、その為の諜報工作を影は取り仕切っている。
然るに生きる屍を作って、自分の存在を誇示、アピールする事は極力避け、部下との接触も目立たない形で行われている。
水面下での戦は既に開始されており、敵方に間者を配置して、混乱させ、手引き、造反をものし、味方軍勢に利を図って行く。
勿論各方面にいる敵方の軍師、指揮官に対する揺さぶり、暗殺をも示唆するやり方は常套手段と言えるので、その辺りの差配影は余念が無い。
情報戦を勝ち抜かなければ、戦には勝てない。
その事情を熟知している影は情報収集にも余念がなく、敵方の間者の動きを牽制しながら取り仕切っている。
影は質素な膳に箸を通しながら、収集した情報の真偽の程を取捨選択している。
 




