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戦国哀歌119

心の内に極楽浄土を抱いた者達同士の、宿命とも言える残忍で過酷な戦いは果てしなく続いて行く。哀しい程に…。

敵を殺さなければ殺されてしまう過酷な現実の連鎖。




そして昨日まで一緒に釜の飯を食し、談笑して寝起きをしていた仲間が隣で惨たらしく殺される現実の連鎖。





その狂気とも呼べる日常の繰り返しは、人の心を否応なしに狂わす。




そこに現世の空蝉泡沫無常感を説き、 来世での極楽浄土が約束されれば、厭世感を抱く者は皆死にたがるにちがいない。




才蔵も例外ではなく、恋さえ実らないこの世には未練などあろう訳もなく、現実逃避であろうが何であろうが、念仏を為し、殺戮戦の無い来世にのみ夢を馳せる。






仏法の徹底した無常感の教えは、厭世感の蔓延と、信仰の深さを形作る。




だから一向宗の者達は、皆笑って死んだわけだ。




あの世に行き恋を成就させ、仲間と共に美酒に酔いたい。





争いの無い裏切りの無い極楽浄土こそ、本当の意味での我が現世だと才蔵は思う。





そして信長とて人の子。





増してや信長は黒人でさえ、蔑まない度量の持ち主だった。





ならば裏切りや誹謗中傷、争い事も無い、仲間同士仲睦まじく語らい、美酒に酔う極楽浄土は信長の懐の内にあり、だからこそ側近の者が忠義を尽くせば、信長はまるで優しい兄貴のように接し、そこに異なる世界、ある意味極楽浄土を見たからこその、信長に対する忠節だった事が推察出来よう。




心の内に極楽浄土を抱いた者達同士の、宿命とも言える残忍で過酷な戦いは果てしなく続いて行く。





哀しい程に。

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