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戦国哀歌107

ゲリラ戦の様相を呈して来た戦場につれない雨が降りしきる。

川を背にしての布陣。





信長は当然馬から降り、生い茂る葦を隠れみのにして身を隠し、その周囲を黒母衣衆や馬廻りの親衛隊が厳重に警護する布陣が形を為して行く。




草木、葦が生い茂る、足場の悪い配置での狙撃戦になると、音や火薬の臭いに依り居所を特定され易い種子島よりも、弓矢の方が数段優れており、機動性を生かした攻撃が出来る。




撃てば射抜かれ、射抜けば、射抜かれる。





そしてほふくし、少しづつ間を詰めて行く息詰まる殺戮戦は、出会い頭の白兵戦をも発生させ、刀や短刀に依る刺殺、斬殺が出現し、随所で断末魔の絶叫と血飛沫が上がり、ぬかるんだ泥の中に首が無造作に落ちて行く。






信長との間合いを距離感と鍛え抜かれた勘で詰めて行く僧兵頭を目敏く見付け、弓を構えた二人の足軽を、才蔵が刀で突き刺し、返す手で首を撥ね、血飛沫が上がり、その返り血を浴びて、泥だらけの上に血達磨と化して行く才蔵。




才蔵は瞬きを繰り返して視界を確保し、持っている刀を打ち棄て、落ちた刀を拾い、ほふくして僧兵頭に手招きして、こちらに移動しろと促す。





風が止み、血で血を洗うゲリラ戦の様相を呈して来た戦場にやがて雨が降り出して来た。




濡れながら、天を仰いだ僧兵頭が嘆息混じりに小声で言った。





「これでは飛び道具は使えん…」

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