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戦国哀歌106

信長を射程距離に入れたいのじゃが、ついて来てくれぬかと、僧兵頭は言った。

葦が生い茂り泥だらけの悪路は、足場を固めて鉄砲や弓を構える場所も見当たらず、逆に移動さえ覚束ず、一向衆の伏兵の銃撃や弓矢の恰好の標的となり、次から次へと甲冑を射抜かれ、銃弾に頭を撃ち抜かれ、薙ぎ倒されて血みどろになって行く中、一人の武将が奮い立ち、怒号を顕に弓隊と鉄砲隊を、主たる信長を庇い立て防御させるように重複整列させ、迎撃準備布陣逆襲、応戦して行く。




一向衆側の黒装束を纏った忍びが木に登り、枝で足場を固めて弓矢を構え、信長の軍勢の指揮官を狙うが、それを信長の鉄砲足軽が銃撃して阻止し、左眼を撃ち抜かれた忍びが、木から転落して血達磨となり、絶命する。




断末魔の絶叫を怒号と喧噪、銃声が掻き消して行く殺戮応酬戦がのどかな山林の麓を血の海に変え、情け容赦なく展開して行く。






そんな戦況を見守りながら、僧兵頭がとつとつとした口調で才蔵に言う。





「とにかく信長めを何とか射程距離に入れたいのじゃが、この角度からでは無理じゃ。移動しながら射程を詰めよう。ついて来てくれぬか」





才蔵が相槌を打ち、二人は叢を隠れみのにしながら、無数の銃弾と矢が交錯飛び交う中、あるいはほふくし、あるいは中腰になり、泥だらけになりながら移動して行った。

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