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二人の少女

※この作品にはミュージカル作品名や、作品に登場する歌のタイトルが多数登場します。(主にレ・ミゼラブルです)馴染みのない方には分かり難いかもしれませんが、ご了承をお願い致します。脚注等が付けられれば検討したいと思います。尚、この物語はフィクションであり、現存する人物、建物、等一切関係ありませんので、ご理解ご了承をお願いします。

 人の行き交う賑やかなロンドンのダウンタウンの一角に、雑然とライブハウスやパブが並ぶその繁華街はあった。

 昼下がりの表通りは大勢の人が行き交い車のクラクションが響き喧騒とした雰囲気だったが、小さな路地に入ると一転薄暗くジメジメした石畳が続き、さらに横に入ると暗い薄汚れた路地に表通りの店の裏口が並んでいた。

 その一つ『Ted's house』と書かれた裏出入り口で、一人の少女が座り込んでバケツ一杯のポテトの皮を剥いていた。子供のように小さく華奢な身体に栗色のくしゃくしゃの長い髪、小さな鼻に小さな口、ナイフを握った手も小さく、全てが小さい少女の中で唯一鳶色の瞳だけが大きく輝いていた。

 綺麗な鳶色の瞳をした少女は、微笑みながら小さな声で歌っていた。喧騒から離れた静かな路地に、奇跡のような美しい歌声が流れていた。観客は近くに座り込んでいる黒猫だけだったが、その猫は何かを感じているかのようにじっと少女を見つめ、その美しい歌声を聞いていた。




 その十六歳の少女、ニナ・ジェフリーは孤児だった。

 英国ケンブリッジの北部にある小さな街マーチにその施設『ハンセン児童養護院』はあった。古びた薄汚れた施設はいつもひっそりとして子供の笑い声などしたことが無く、高い塀に囲まれた施設の裏庭にはごろごろと石が転がり、唯一の遊具の鎖の切れた錆付いたブランコが風に揺れてギーギーとした音を立てていた。

 その施設の院長ジェイコブ・ハンセンは名前と裏腹な残虐非道な男だった。施設ではハンセンにより日常的に虐待が行われ、子供たちは怯えて暮らしていた。満足な食事も与えられず、子供達は皆痩せて常に怯えた目でおどおどとしていた。そんな小さな子達を励ますために、ニナはよく歌ってあげていた。満足なオモチャもない施設では、歌うぐらいしか楽しみがなかったのだ。その日の折檻を思い出して薄い毛布被って震えながら声を出さずに泣いている子には、ニナはそっと小さな声で子守唄を歌った。入ったばかりで母親を思い出して泣く子には、そっと抱き締めて耳元で優しく歌を歌った。

 だが、ニナ本人は自分の母親の顔も名前すらも知らず、「お前は捨てられていた」とだけ教えられていた。小さい頃はいつか誰かが迎えに来てくれるのではないかと、じっと施設の外を見つめることもあったが、そのうちに外を見るのを止めてしまった。たまに見る母親の夢もいつも影のようにゆらゆらと揺れるだけで、ニナを呼ぶ優しい声もなく、何時も儚く消えていった。

 ニナは、まだ小さな子を叩こうと手を上げて仁王立ちするハンセンの前に飛び出して、庇うことも稀ではなかった。だが、その後にはいつも、恐ろしい『指導』が待ち受けていた。


 髪をくしゃくしゃにして虚ろな顔で部屋へ戻ったニナが悲しそうに呟いた。

「ナンシー、院長が……呼んでる……」

 ニナより二歳年上のナンシーは一瞬体をびくっとさせたが、眠っている自分の小さな妹の傍らから静かに立ち上がり、黙ってニナをベッドに寝かせて微笑んで頭を優しく撫でた。そして悲しそうな顔をしてナンシーは部屋を出ていった。

 背中の痛みで仰向けになる事が出来ずに、ニナは横を向き、体を縮こめるように丸くなった。

「ナンシー、ごめんね」

 零れる涙がニナの枕を濡らした。ナンシーがハンセンに何をされているのかニナには分かっていた。分かっていたがどうすることも出来なくて、声を殺して泣いていた。



 学校でも、皆親から『あの施設の子供には近づくな。泥棒だ』と言われているので、ニナには友達も居なかった。いつも同じ擦り切れた服を着ているニナを遠巻きにし、話し掛ける子は居なかった。

「アンタはさぁ、バカ正直過ぎるのよ」

 同じ施設で暮らす同い年のデイジーは、クチャクチャとガムを噛みながら帰り道でニナに言った。ニナは俯いてトボトボと後を追いながら、黙りこくったままだった。

「あんな奴ら気にする事ないのよ。どうせどいつも間抜けなんだから。たまたま自分に親が居るのはラッキーなだけなんだって気づいてないのよ」

 デイジーはケラケラと笑うと道すがらのショーウィンドウで足を止め、ポケットから取り出したリップクリームをてらてらと唇に塗りたくってガラスを覗き込み、長い赤毛を手で掬って整えた。

 ニナよりも二十㎝背が高く大柄なデイジーは、古びて小さくなったTシャツの胸を張り裂けそうに張り出して、縮んだTシャツの裾から時折臍を覗かせながら、右、左とポーズを取って覗き込んでいた。その隣で、寂しそうな顔で映りこんでいるニナは、小さな体にほんの微かにしか膨らみのない胸で、十五歳だというのにまるで子供にしか見えなかった。

「デイジー、それ……」

「平気よぉ。あいつら気づいちゃいないから」

 デイジーは誰にでも喧嘩を吹っかけるし、学校の友達の物をちょろまかすのも平気だった。噛んでいるガムもリップクリームも盗んだ物だった。

「デイジー。人の物を盗っちゃいけないわ」

 ニナがため息をついて諭すと、デイジーは眉を寄せて言った。

「だからアンタはバカ正直だって言うのよ」

 ふんとそっぽを向いてニナを置いて、デイジーはスタスタと先を歩いて行ってしまった。



 施設では預かってる子が義務教育を終えると働きに出し、その給料を搾取していた。その上で施設内の肉体労働をさせ、尚且つ女の子は悉くハンセンにレイプされていた。十六歳未満の女子との性交を禁じた英国の法律を意識して、十六までは待ったハンセンだったが、それを過ぎると好きなように女の子を弄び、希に発覚すると「同意の上」と証言させる悪辣ぶりだった。それは施設内では秘密裏に『儀式』と呼ばれていた。


 その年、義務教育の最後のステージ4を終えたのはデイジーとニナだけだった。十六歳になったニナはGCSEで最高レベルを獲得し進学を勧められたが、施設は例外を認めず首を振った。デイジーは卒業するとすぐにハンセンに『儀式』に呼び出され、やがて涙を浮かべて悔しそうに戻ってきた。

「ちくしょう!」

 デイジーは自分のベッドに上がり、カーテンを閉め切って一人声を殺して泣いていた。ニナは心配そうに声を掛けるが、デイジーから返事はなかった。

 ニ、三日後、固い表情のデイジーはニナと廊下ですれ違った時に、表情を変えず立ち止まらずに「ニナ。さよなら」と呟いた。

 ニナは悲しそうな顔で振り返ったが、デイジーが振り返る事はなかった。

 その夜、デイジーは施設を脱走して失踪した。



 ニナは中々ハンセンに呼び出されなかった。ハンセンのお気に入りが体の発達した子だったからだ。とても十六歳には見えない自分はもしかしたら『儀式』を受けずに済むかもしれないと、ニナは期待を込めて日々を過ごしていたが、デイジーの失踪に怒り心頭のハンセンはついにニナも院長室に呼び出した。

「卒業おめでとう」

 その日の夕食の後、院長室にニナを呼び出したハンセンは、にやにやと笑いながら言った。ニナは院長室のドアを背にして、怯えたように震えたまま黙って立ち尽くしていた。

「もう一人前の女だな、一応は」

 ハンセンはニナを頭の先から足の先まで舐めるように見たが、ケッと顔を歪めて立ち上がって、目の前で怯えて立ち尽くすニナの手を強引に掴んだ。

「お前は全然育たないな。まぁいい。それじゃあ、『儀式』の時間だ」

「離して!」ニナはその手を振り解こうと嫌がった。

「誰が育ててやってると思ってるんだ!」

 ハンセンは顔を真っ赤にしてニナを平手打ちし、もんどりうって床に倒れ込んだニナに歩み寄り、薄汚い息を吹きかけるように顔を近づけて薄ら笑いを浮かべた。

「お前の母親はお前を捨てていったんだ。俺のお陰でここまで大きくなったんだ。感謝の気持ちで自分を差し出すぐらい当然だろ」

 恐怖に震えながら後退って逃げようとしたニナはソファテーブルにぶつかると、その上の果物籠に無造作に置いてあった果物ナイフに気がついた。ニナはすかさずそのナイフを取って、ハンセンへ向けて突きつけて叫んだ。

「近寄らないで!」

「……ニナ。お前は本当に生意気だな。お仕置きが必要だな」

 ハンセンは顔を歪めてニナを睨み付けて、ナイフを気にする事なくゆっくりと近づいてきた。ニナは目を見開いて、今度はナイフを自分の首に当てて絶叫した。

「近寄ったら死ぬわ!」

 するとハンセンは卑怯な笑みを浮かべて、ニナをにやにやと恫喝した。

「そんな事をしてみろ。痛めつけられる子が沢山出るだろうなぁ」

 それは、誰よりも施設の小さな子を大切にしていたニナには耐え難い苦痛だった。ニナは恐怖に見開いた目で凍りついたまま震えていたが、やがて喉元に突きつけていたナイフが床へ落ち、カランという乾いた音を立てた。恐怖で見開かれたニナの鳶色の瞳には、にやにやと笑いながら近づくハンセンが映っていた。


 深夜になってようやく解放されたニナは部屋の隅で膝を抱えて俯き縮こまって考え続けていた。切れた口元からは血が一筋流れ固まったままこびり付き、体中痣だらけで、下腹部のズキズキとした痛みは止むことがなく続いていた。あの男が口をつけた箇所の自分の肌がどす黒く変色しているように感じられ、もう洗い流しても消えないと思った。全身が真っ黒い闇に覆われているように思えた。

 心の中で、此処に居てはいけないと何かが繰り返し警鐘を激しく鳴らした。ハンセンに弄ばれ、廃人のようになった少女達を何人も見てきたが、行政も大人たちも誰も助けてくれないと分かっていた。

 だが、脱走者が出ればハンセンが怒り狂って他の子を虐待するのはいつもの事だった。自分が逃げれば小さな子が酷い目に遭うと分かっていたニナには、その決心が付かなかった。


 翌日、施設の小さな庭の草むしりを命じられたニナが一人作業をしていると施設の最年長のサムがこっそりとニナに近づいて来て、辺りを見回して院長や職員の姿が無い事を確認するとニナの脇にしゃがみ込んで囁いた。

「ニナ、逃げろ。此処に居ちゃいけない」

 サムの目は真剣だった。ニナは目を見開いて驚いたが、やがて悲しそうに呟いた。

「でも……小さな子が虐められるわ」

 サムはまた辺りを見回してからニナを励ますように頷いた。

「男の俺達が踏ん張るから。いつもこうやって女の子は逃がしてるんだ。……ごめん、ニナ。アイツがまさか君を『儀式』に呼ぶとは思わなかったんだ。気づいてあげられなくてごめんよ」

 サムは悲しそうな目で見た。ニナも悲しそうにサムの目をじっと見ていたが、やはり決心がつかず、やがて小さく首を振った。サムはため息をつくと、

「小さい子達は俺達が必ず守るから、決心したら言ってくれ」

 そう言って、そっとニナから離れていった。



 数日後の夕食の時だった。配られた貧しい夕餉の乗ったトレーを危なっかしく運んでいたナンシーの幼い妹コニーに、職員がわざと足を掛けて転ばせた。コニーはひとたまりもなく転んで、夕餉のトレーを引っ繰り返した。

「おい! 大事な食事を蔑ろにしやがって!」

 それを見たハンセンが、口元には笑みを浮かべながら、手を挙げてコニーを叩こうと近寄って大声で威嚇した。こうすればナンシーが必ず妹を庇うので、ナンシーを『指導』する切欠にするための、奴らの汚いやり口だった。だが、コニーを庇って立ちはだかったのはニナだった。

「……また、お前か。ニナ。懲りない奴だな」

 ハンセンは苦々しくニナを見下ろすと、冷たく言い放った。

「ニナ。お前は『指導』だ。夕飯の後、院長室へ来い」

 ニナが怯えて泣きじゃくるコニーを抱きかかえて唇を噛み締めると、ナンシーがニナに駆け寄って小さく悲しそうに囁いた。

「ダメよ。ニナ。私が行くわ」

 その言葉に、ニナは悲しそうな顔をしたが首を振った。

「ナンシーはいつも院長に酷い事をされているわ。私が『指導』の後にはいつも……。ごめんね、ナンシー」

 ナンシーは涙を浮かべてニナの髪をそっと撫でると、小さく首を振った。


 夕食後の院長室で、ハンセンは再びニナを陵辱しようとしていた。必死に抵抗していたニナだったが、ハンセンに押さえ込まれてTシャツが脱がされ掛けていたところへ、静かに扉が開いてナンシーが入ってきた。

「……ナンシー! ダメよ!」

 驚いたニナが眼を見開いて叫ぶが、ナンシーは不思議な笑みを浮かべていた。

「そんな子供、相手にすることないわ」

 ナンシーは着ていた質素なブラウスを脱ぎ捨てると挑戦的な目でハンセンを見据え、その首に手を掛けて妖艶に微笑んだ。

「私と楽しまない?」

 別人のようなナンシーにニナは驚愕したまま口を開けて見ていたが、ハンセンは舌なめずりすると、

「最初からお前が来れば良かったんだ。ナンシー、さぁ来い」

 とニナをベッドから放り出し、ナンシーを抱きかかえた。ナンシーは嬉しそうに喘ぎながらニナを横目で見て、ハンセンが見ていないのを確認してウィンクした。

「子供はさっさと部屋へ帰りな」


 呆然と部屋へ戻ったニナは、眠っているコニーの傍らに力が抜けたように座り込んだ。ナンシーには別の人格が居るとは聞いていたが、見たのは初めてだった。辛い虐待から逃げるために、違う人格が生まれる事は知っていた。このまま此処に居ると、自分もそうなっていくんだろうかと、ぼんやりとニナは思った。

 その時また警鐘が激しくなった。

『此処に居てはいけない。逃げなさい。逃げなさい!』

 激しく鳴り続ける警鐘から逃れるように耳を塞いだニナだったが、心の中の音は消すことが出来なかった。

 やがてニナは決心したように顔を上げて、真っ暗な外の闇を黙ったままずっと見続けていた。


 翌朝、ひと気のない廊下でサムを見つけたニナは、通りすがりにそっと囁いた。

「私、逃げるわ」

「……裏門の鍵を開けておく。今夜0時に裏口に見付からないように来い」

 それだけ言うとサムは何事もなかったようにそっと立ち去った。

 その夜ニナは、眠っている小さな子達に「守ってあげられなくてごめんね」と泣きながら詫びて、そっと部屋を抜け出すと裏口のサムと落ち合った。

「ニナ。負けるなよ」

 サムはニナの小さな手を取って、僅かなお金が入った袋を握らせた。ニナは涙を浮かべた目で頷いてサムに誓った。

「いつか、いつかきっと皆を助けに来る」

 サムは黙ったままゆっくりと頷いて、辺りを見回して裏口をそっと開けた。

 月明かりの夜、少しの荷物を持ってニナは施設を脱走した。

 




 サムから渡された僅かなお金を持って、ニナはロンドンに辿り着いた。今まで住んでいた小さな町と違う見たこともないほどの人混みの中で、ニナは仕事を求めて彷徨い歩いた。だが、どこへ行っても小さなニナを一瞥するなり「子供は帰った、帰った。」と追い返されてしまった。義務教育を終えていると訴えても、誰も信用しなかった。眠る場所もなく、夜の繁華街を隠れるように歩き、昼の公園でひっそりと僅かな仮眠をとった。警官に見咎められれば、施設に連れ戻されてしまうに違いない。それがニナには恐ろしかった。


 元々雀の涙程の手持ちのお金も、もう残り僅かで、丸ニ日間ニナは何も食べてなかった。疲れきったニナは、裏通りの薄汚れたパブの壁に貼られた『皿洗い募集』の張り紙を見て、きっとまたダメだろうと思いながら古びたドアを開けた。だが、店主はニナを値踏みするように眺め回してから、無言で中に入るようにジェスチャーした。ニナは驚くと共に、ほっとして入口のドアを閉めた。

 皿洗いの他掃除やポテトの皮剥きなど色々とこき使われたが、ニナはよく働いた。店裏の小さな倉庫の片隅で寝ることも許され、薄い毛布だけでようやく寒さを凌いだが、安心して眠れる場所があるだけ有り難かった。

 ところが二週間もたつと、店主がニナに向かって「フロアへ出ろ」と、冷たく言い放った。店では何人かの女性が男性の席に座って接客をしていた。酔った男を相手に媚を売るようにしなだれかかる女性達を、ニナは見ないようにしていた。

 ニナが即座に「嫌です」と断ると、店主は怒りを露にして怒鳴った。

「誰がお前を拾ってやったと思ってるんだ! 恩知らずめ!」

 ニナはどうか裏方だけやらせて欲しいと懇願したが、店主は許さなかった。店主は、最初からニナを店に出すつもりで雇ったのだ。それでもニナが激しく拒否すると、店主は冷たく言った。

「出て行け」

 ニナは放り出されるように、店から追い出された。


 そんな事が何度も続いたが、それでもニナは男性相手の水商売をすることは拒否した。それ以外の仕事でも、最初は優しくしてくれても直ぐに男達は本性を現してニナを求め、その度に激しく抵抗して結局はクビになってしまった。殴られて店から放り出されたニナに、こっそり出てきたホステスの一人がそっとニナにお金を握らせてやることもあった。

「こんな小さな子に接客なんて!」

 ニナを庇ってくれたホステスも一人二人では無かった。

「私もうやめるわ、こんな自堕落な生活。故郷に帰って農家を継ぐわ」

 辛い仕事を黙々と一生懸命やっているニナの姿を見て辞める人も居た。そしてニナを抱きしめ「ニナ。頑張るのよ」と、涙を浮かべて去っていった。

 ニナは、ホステス達やその仕事を軽蔑していたわけではなかった。ただ、自分の中の何かが、決して魂を売り払ってはいけない、穢されてはならない、と強く訴えかけていた。ただただ真っ直ぐに生きて、そしていつか施設の子供達を救いたい、ニナはそれだけを強く想っていたのだった。





 そんな一日を生きていくのがやっとな日々が半年ほど続いた。またしても接客を強要されて拒否してクビになったニナだったが、次の仕事が中々見付からず困り果てていた。

「ニナを雇うと女の子が次々と辞めてしまって潰れてしまう」という噂がダウンタウン一帯で広まっていたからだ。事実、ニナの懸命に生きる姿を見て自分の堕落した生活に嫌気がさして、辞めてしまう子が後を絶たなかった。

 ニナは行く宛も無く公園のベンチで途方に暮れて俯いて座り込んでいた。そんな彼女の隣に煙草を吹かしながら一人の女がどっかと腰を下ろした。

「ベラ姐さん?」

 顔を上げたニナが黒い縮れ髪の女を見て驚いて呟いた。


 ベラは先日ニナがクビになった店に居たベテランのホステスだった。ニナが初めて店で挨拶した日、ニナをちらっと見ただけで何も言わず不機嫌そうに煙草を吹かしていた。ベラは無愛想で口は悪かったし、嫌な客には水を引っ掛けて平然としていたが、実際には面倒見がいい気風のいい姉御肌で後輩達に慕われていた。

 ニナがまたしても客を取るように店主に強要されて断って、殴られ足蹴にされていた時に、ベラは物も言わず行き成り店主を平手打ちにしてから、ニナを庇うように店主の前に立ちはだかった。

「アンタみたいなクズ野郎は地獄に落ちろ!」

 唾を吐きかけたベラに店主は顔を真っ赤にして叫んだ。

「出ていけ!」

 ベラは床に転がったままのニナをそっと立ち上がらせて、店主に打たれて赤くなった頬を優しく撫でて悲しそうな顔をしてじっと見ていたが、やがてそっと目を閉じ立ち上がった。

「負けるんじゃないよ」

 それだけニナに言うと静かに去って行ったのだった。


 ベラは前を向いたまま煙草の煙をふーっと吹き出た。

「あんたに向いてる仕事があるけど、やるかい?」

 それはベラの知り合いが経営しているライブハウスでの下働きだった。

「そこではアンタを客に触らせようなんて奴は居ない。安心して働きな」

 そっぽを向いたまま、ベラはいつものようにぶっきらぼうに言った。

 ベラは店を辞めた後、密かにニナが安心して働ける仕事先を探していたのだった。友人のテッドに頼み込み、というよりは半ば脅してニナを雇う事を約束させ、長い付き合いのテッドはいつものベラの剣幕に苦笑しながらも快諾したのだった。


 ライブハウスのオーナーのテッド・ペインは、長い黒髪を乱雑に一つに束ね、無精ひげを生やしたむさ苦しい身なりだったが、整った顔立ちがそんな身なりもクールに見せていた。永くスタジオミュージシャンを務め、自身の店でも歌を披露するプロでもあった。人を寄せ付けない雰囲気を漂わせていたが、実際は優しい目をした気さくな人物だった。

 テッドはニナのために、小さな古いアパートだったが部屋も用意してくれた。仕事内容も料理の手伝いや掃除などの裏方だったし、ライブハウスということで接客する必要も無く、ようやくニナは安心して働けるようになった。

 テッドは初めてニナを見た時に、昔一度だけ偶然見たことのあるベラの持っていた古い写真を思い出した。まだ若いベラが三歳ぐらいの小さな女の子を抱いて、今では想像もつかないような笑顔で微笑んでいる写真だった。くしゃくしゃの栗色の髪であどけなく笑っていたその女の子は、その僅か後に死んだと聞いた。ベラが何故この子を守ろうとするのかテッドには分かった。いつものように無愛想に立っているベラの本心を思うと、テッドの胸は痛んだ。





 テッドの店で働くようになって半年が経った。仕事にも慣れたニナはひたすら真面目に働き、テッドもスタッフも小さなニナを妹のように可愛がって、最初はおどおどとして余り話さなかったニナも、少しずつ明るい表情をするようになっていった。

「まだ子供みたいじゃない! ちゃんと食わせてるんだろうね?!」

 ベラも時々店に顔を見に来てはテッドに悪態をついて、テッドを苦笑させニナを慌てさせた。

 皆小さなニナに沢山食べろと夕食を多めに出すが、ニナは遠慮しているかのように余り食べなかった。それならと持ち帰らせると、いつもニナは通りの猫達や街中のホームレスに渡しているのをテッドは知っていた。それどころか、具合を悪くした年老いたホームレスのところには、いつも自分のお金を出して食事や薬を届けているのも知っていた。この街で長く店を開き人望の厚かったテッドの元には、街のあらゆる情報が入ってきていた。

 有り難がって食事をするホームレスの隣で、ニナはニコニコと笑いながら自分は小さなパン一個を齧っていた。そんなニナをテッドは困ったような顔で微笑みながら、そっと見守っていた。

 ニナの小さなアパートにはベッドと少しの家具があるだけで、TVもラジオも無かった。それでも家と呼べる場所で安心して眠れる事が、ニナには幸せだった。それまで自分が過ごしてきた環境に比べると此処はまるで天国のように居心地がよかった。そんな時ニナはいつも施設に残してきた子供達を思い出しては辛そうに手をぎゅっと握り締めて、「待っててね」と悲しそうに呟くのだった。

 


 そんなある日、ニナがいつものように大きなゴミ箱を抱え裏口からゴミを出していると、湿った石畳を近づいてくる足音に気づいて顔を上げた。燃えるような赤毛を盛り立てるようなロングヘアーに、派手なドレスにシルバーのジャケットを羽織った赤いハイヒールの女で、派手な化粧をしていたが、よく見ると顔には幼さが垣間見えた。顔を見上げてその少女を見たニナが最初は怪訝そうにしていたが、やがて笑顔になってその少女に向かって抱きついた。

「デイジー! デイジーじゃない!」

「ニナ! 元気だった!? アンタも無事に逃げられたんだ。よかった!」

  デイジーとニナは抱き合ってお互いの無事を喜んだ。

「私、今この店で働いてるの。みんな良くしてくれて、今は幸せよ。デイジーは?」

 ニナはニコニコと笑いながらデイジーに訊ねたが、デイジーは少し眉を潜め暗い顔を一瞬見せた。

「……アタシ? アタシも元気よ。水商売だけど……うまくやってるわ」

 首をすくめて笑ってみせるデイジーに、ニナはほっとした顔で微笑んだ。

 ところが、デイジーは辛そうに横を向いて目を伏せ、苦い顔で呟いた。

「でも……こないだ、お客を怒らせちゃってね。ちょっと困ってるんだ」

「どうしたの?」ニナが心配そうな顔で訊ねた。

「お客のボトルを落として壊しちまって、それが高いお酒でさ……弁償しろって。出来なきゃ体で払えって……」

 デイジーは目を逸らすように横を向いて、俯いたまま苦痛そうに言った。ニナは目を見開いて、デイジーの肩を掴んで首を振った。

「そんなことしちゃいけないわ! ダメよ! 少しなら、少しなら助けられるわ!」

「ニナも大変なんだし、そんなこと頼めないよ」

 デイジーは涙ぐんで断ったが、ニナは「ちょっと待ってて!」と叫ぶと店に戻り自分の鞄を抱えて戻ってきた。

「これで、これを足しにして!」

 と、薄い封筒をデイジーに渡した。さっき貰ったばかりの二週分の週給だった。

「ありがとう、ニナ。働いて……直ぐにすぐに返すわ」

 デイジーは泣きながらニナに抱きつき、ニナも涙を浮かべてデイジーを抱き締めて微笑んだ。

「いつでもいいのよ。心配しないで」

「また遊びに来るわ!」

 デイジーは涙を拭きながらニナに手を振って去っていった。

「待ってるわ!」

 ニナも笑顔で大きく手を振った。


 デイジーは表通りに出るとふうっとため息をついてから、クスッと笑った。

「相変らずに素直というか、バカ正直というか……。変わらないわね、ニナは」

 デイジーが店勤めをしているというのは嘘だった。彼女は夜の街に立つ売春婦になっていた。夜遊びが過ぎて少々懐が寂しくなってきていたところに、ニナがこの店で働いていると別の元施設仲間から情報を得て、たかろうとやってきたのだった。

「あーあ。たった二百ポンドか。しけてるなぁ」

 封筒の中の僅かな金額を見て舌打ちし、封筒をくしゃっと丸めて道端に投げ捨てた。一瞬元来た道の方を振り返り、疑いを知らないニナの笑顔を思い出して胸がチクンと痛んだが、お金を自分のバッグに入れるとデイジーは鼓舞するように鼻歌を歌いながら歩き出した。



 そのたった二百ポンドがニナの全財産だった。前に貰った週給分は病気のホームレスに食事と薬を届けて無くなってしまっていたが、しかしその全財産を渡してしまったことをニナは全然後悔はしてなかった。デイジーがそれで少しでも助かればと祈っていた。だが、家には何も食べるものが無く、水すら無く、店で出される一食分の食事だけで、夜にお腹がすくと公園で汲み置きしたボトルの水を飲んで飢えを凌ぐ日が続いた。

 そんな日が一週間以上続き、いつもフラフラとしているニナの異常に一人のスタッフが気づいた。問い詰められて、ニナは友達に全部貸した事を話した。

「必ず返してくれるわ。彼女は優しい子だから、今頑張っている筈よ!」

 呆れるスタッフ達にニナは強く訴えたが、テッドは黙ったまま厳しい顔をしたままだった。彼は、デイジーが店勤めではなく街の売春婦だと知っていた。

 スタッフ達はニナに前借りさせてやればと提案したが、テッドは首を振った。このままだと、ニナはまたデイジーが来ればお金を渡してしまうだろうと思ったのだ。それは、ニナのためにもデイジーのためにもならない事がテッドには分かっていたのだった。


 その夜、街に立って客を待っていたデイジーを見つけたテッドは、デイジーに声を掛けた。

「よう。デイジー」

「なんだ、あんたか。あんた客じゃないだろ。邪魔だよ」

 デイジーは煙草を吹かしてそっぽを向いた。

「そうはいかない。お前、ニナから借りた金どうした?」

 テッドは彼女を覗き込むように訊ねた。

「なんだ、もうしゃべっちまったのか。もう無いよ、あんなはした金遊んじまってあっという間さ。ニナも大したもんだね。自分の店のマスターを借金取りの使いにするなんてさ」

 デイジーは呆れたように笑った。

「使いじゃないさ。ニナは今でもお前が頑張って働いていると信じている。自分の全財産を渡して、飲まず食わずでフラフラになりながら、な」

 気軽に話すテッドだったが目は笑っていなかった。デイジーは目を逸らし狼狽した。

「バ、バカじゃないの。そんなに言うなら、二百ポンドぐらい一晩で稼いで返してやるわ!」

 顔を赤くして怒鳴るデイジーに、テッドは厳しい顔をしてデイジーを見据えた。

「そんな汚い金はニナは受け取らない。お前、自分で分かってるだろ? ニナがどういう子かは。とにかく一度、自分の目で確かめに来い」

 それだけ言うとテッドは静かに去っていった。



 汚い裏通りで客の男が去った後、デイジーは道に投げ捨てられたお金を拾い上げた。くしゃくしゃになった髪を手で整え着崩れた服を直すと、鞄に手を突っ込んで震える手で煙草を取り出し、ふぅーーとため息のように煙を吐いた。

 デイジーは施設を脱走してからは、水商売から転がる石のように売春婦へ転落した。何の取り得もない自分にはこれぐらいしか出来ないと自分を無理に納得させていた。稼いだ金は煙草やお酒、ドラッグに消えていった。一時の快楽の後には虚しさが待っているだけだと分かっていても、他に逃げる術を知らなかった。流れのデイジーは他の娼婦達からリンチまがいの事をされる事も少なくなかったが、それにも歯を食いしばって耐えてきた。

 デイジーは施設では見た事も無かったようなニナの笑顔を思い出していた。

「アンタみたいにバカ正直になれるわけないじゃん」

 デイジーは独り自嘲気味に呟いた。その時、デイジーの脳裏に一面の花畑が唐突に浮かび、日に焼けた若い夫婦が花畑の中ニコニコとデイジーに手を振っていた。

「だってあんたらさっさと死んじまったじゃないか!」

 デイジーはその幻想を振り払うように大きく首を振って、悔しそうに呟いた。


 翌日、生気のない疲れきった顔でデイジーはよろよろと表通りを彷徨い歩いていた。夕べは泊まりの客にあり付けなくて、寝床を確保出来なかったデイジーは夜通し街をふらついていた。ふと顔を上げたデイジーの目の前に『Ted’s House』の看板が目に入り、デイジーは表通りから路地裏をそっと覗くと、店裏で働くニナが居た。

 ニナは一見して判るほど痩せてしまっていた。力が入らないようで、バケツ一杯のポテトを運ぶのも大変そうだった。

 それでも、裏通りでニナに餌をねだる仔猫の頭を笑顔で「ちょっと待っててね」とそっと撫で、おそらく昼食を残して取っておいたであろうチキンサンドイッチの残りを仔猫にあげていた。ニナはニコニコと仔猫を見つめ、座り込んで静かに歌い始めた。


 優しく透き通った声が、懐かしいニナの歌声がデイジーの耳にも届いた。ゴミくさいロンドンの裏通りに居る筈なのに、青い草と甘く香る花の香りがデイジーを包み込んだ。目の前の薄汚れた建物が姿を消し、一面の花畑にデイジーは立っていた。ニナの優しい歌が風に乗ってゆっくりと花畑に広がっていく。遠くで大きく手を振る若い夫婦の姿が見えると、デイジーは泣き出して二人に向って駆け出した。

「デイジー!」

 自分を呼ぶ声にデイジーがはっと気づくと、彼女の姿に気づいたニナが歌を止め立ち上がってこちらを見ていた。デイジーはいつもの薄汚れたロンドンの街中に立ち尽くしていて、剥げ掛けた化粧のマスカラが落ち、黒い筋となってデイジーの頬を伝っていた。デイジーは目を見開いて怯えたように後退りすると、ニナから顔を背けて走り去ってしまった。

「デイジー?! どうしたの? デイジー!」

 表通りまで叫びながら追ってきたニナは、デイジーの走り去った方向を心配そうにずっと見続けていた。


 街からデイジーの姿が消え、それを知ったテッドは苦い顔をした。そして、ニナの元になんの連絡もないまま一週間が過ぎた。





 表通りに面した店のドアやガラス拭きをしていたニナを遠くでじっと見ていたデイジーが、やがて決心したようにニナの元へ歩み寄った。近づいてくる人の気配にニナが手を止めて振り返ると、化粧をしていないデイジーは、Tシャツとジーンズ姿で少し気まずそうに横を向いて、くしゃくしゃの封筒をニナにぶっきら棒に差し出した。

「遅くなったけど、これ」

 ニナは驚いたように目を丸くしてから心配そうな顔になり、デイジーを覗き込んだ。

「デイジー! いつでもよかったのよ? 大丈夫なの? お客さんに許してもらった?」

 そんなニナを、唇を噛んで見ていたデイジーの瞳にみるみると涙が溢れ出し、デイジーはニナに抱きついて泣き声を上げた。

「アンタ、バカよ! 本当にバカだわ! 昔っからそうよ! 大バカだわ!」

「デイジー? どうしたの? 何かあったの?」

 ニナに縋り付いて泣きじゃくるデイジーの頭を撫でながら、ニナは心配そうに言った。

「どうやって稼いだんだ。その金。汚い金じゃないだろうな」

 途中から後ろでそっと見守っていたテッドがデイジーを冷たく見て素っ気無く声を掛けると、デイジーは顔を上げ、涙に濡れた目でテッドをキッと睨んだ。

「そんな金じゃないさ! 花屋のバイトを見つけたんだ! それで前借りしたんだ!」

「随分とお人よしの花屋が居たもんだ」

 笑ったテッドに、デイジーはふんとテッドを見下したように見ると強気に言い切った。

「これでも花の事は知ってるんだ。死ぬほど働いて倍にして返してやるよ!」

「おう。楽しみにしてるぞ」

 テッドがにやりと笑ってデイジーの肩を叩いているのを見て、ニナはキョトンとして二人を交互に不思議そうに見た。

「デイジー? テッドの事知ってるの?」

 テッドはそんなニナの頭もぐりぐりと撫でるとにこやかに笑った。

「今日の夕飯は大盛りにすっかなぁ」

 




 ニナは、時折花の配達に来るデイジーとも頻繁に会うようになり、より明るくなった。以前の暗い面影は消え、誰にでもニコニコと明るく人懐っこく笑いかけるようになった。

 デイジーは言葉通り真面目に働いているようだった。彼女は一時里子として花農家で暮らしていたことがあり、不幸な事故で若い農家夫婦が亡くなりまた施設に戻された過去があった。それで花の事には詳しかったのだ。前はいつも疲れきったような顔をしていたが、日焼けした顔にそばかすを浮かべ、いつも明るく元気よく笑った顔が眩しくて、花屋の主人夫婦にも可愛がられているようだった。そして花の配達で店を訪れる度に、ニナにも小さな花を一輪渡して喜ばせた。


「ニナ。アンタはいつまでも成長しないわねぇ」

 相変らず小さくて細くて子供のようなニナを、デイジーは呆れたようにしげしげと見つめた。腰に手を当てて胸を張ってニナを眺めているデイジーは、キュッと引き締まった腰と、Tシャツの胸が大きく盛り上がって女性らしい体つきだった。

「これでもちゃんと食べてるのよ。小さいのは昔からだったじゃない」

 ニナはしゅんとした顔で拗ねた。

 デイジーは目を細めてニナの顔に近づけてウィンクした。

「恋するといいわよ。好きな人が出来ると、自然に女っぽくなるわよ」

「そんな事言われたって……」

 どぎまぎしたニナは真っ赤になって俯いた。

「ま。この店じゃそんな相手もいなさそうだしね」

 デイジーがふっと手を広げ鼻で笑った。

「悪かったな。ロクな男が居なくて」

 さっきからデイジーの背後に立っていたテッドが、眉を顰めてデイジーの頭を後ろから軽く叩いた。

 デイジーはしかめっ面しながら叩かれた頭を撫でて、テッドを振り返ってベーと舌を出した。

「自分の事よーくわかってんじゃん。テッド」

 ニナはぷっと吹き出して笑い出した。デイジーも笑い出し、二人の少女が楽しそうに笑っているのをテッドは苦笑いしながらも明るく見守っていた。


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