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【100万PV突破‼︎】幕末に転生したら近衛家の姫でした。まず屋根を直します  作者: 1009


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第八十四話「無血近代化計画——その全容を高杉と久坂が知る」

 万延二年、新春。


 江戸は元日からの三日松も終わり、町には日常の音が、徐々に戻り始めていた。

 しかし、新春の気配は、まだ濃く残っていた。

 武家屋敷の門前には、注連縄と門松が掲げられ、子供たちは凧を揚げ、商家の前には、屠蘇祝いの縁起物が、幾つも飾られていた。


 一橋上屋敷も、新春の装いを整えていた。

 表門には、立派な門松が一対、控えめに、しかし格式高く飾られていた。注連縄には、京の御所を意識した、淡い紫の和紙の御幣が、添えられていた。


 奥御殿の御座所。

 部屋の床の間には、新春らしく、紅白の梅を一枝、青磁の花入れに活けてあった。冬梅の蕾の方は、ようやく、半ばまでほころび、淡い紅の色を、見せ始めていた。違い棚の上には、新春の祝いとして、京の親戚から届いた飾り扇が、丁寧に置かれていた。

 部屋の隅には、火鉢が、新しい炭を入れて、今までより力強く燃えていた。炭の燃える「ちりちり」という音が、新春の朝の静けさの中で、奇妙に賑やかに響いていた。

 障子の向こうでは、新春の朝の光が、白く、柔らかく、差し込んでいた。庭の松の葉には、まだ薄く霜が残り、その霜が、朝の光を受けて、白く輝いていた。


 その御座所に、——三人の男が、揃っていた。

 坂本龍馬、高杉晋作、久坂玄瑞。

 三人は、御簾の前で、平伏していた。


 御簾の横には、葵が静かに控えていた。

 三人の後ろには、近藤勇と沖田総司が、それぞれの位置に立っていた。近藤は無言で正面を見つめ、沖田はにこにこと笑いながら、しかし眼の奥では、しっかりと三人の様子を観察していた。


 坂本龍馬が、最初に、平伏したまま声を上げた。

 「姫様——あけましておめでとうございます。今年もよろしゅう頼むぜよ」

 高杉晋作と久坂玄瑞も、共に平伏したまま、声を揃えた。

 「姫様、あけましておめでとうございます」

 「今年も、幸せます」


 御簾の奥から、糸子の声が、静かに響いた。

 「御慶申し入れます」

 いつもより、少し格式ばった京の挨拶であった。新春らしい改まった声色だった。


 「さて——新春早々ではありますが、三人にはこれからの予定を、お知らせ致そうと思いまする」

 糸子の声が続いた。


 坂本龍馬が平伏したまま、少し顔を上げにやにやと笑った。

 「やっとかえ! 姫様、しばらくゴトゴトできたけんど、退屈しちょったぜよ」

 高杉晋作が、隣で横目で龍馬を見た。

 「我ら松下村塾の皆は、商務語学所へ通うちおらんのんか?」

 久坂玄瑞も、黙って頷いた。


 高杉と久坂は、糸子の駒となることを誓った日から——既に一月以上が経っていた。

 しかし、未だに具体的な指示は、何一つ降りていない。じれったさが二人の中には、確かに溜まっていた。


 糸子は、御簾の奥で静かに息を吸った。


 (さて——いよいよ、この二人に計画①の全容を開示することになる)

 (覚悟はできているか)

 (彼らに開示することは——もはや、引き返せぬ一線を二人と一緒に踏み越えることだ)


 糸子は、深く息を吐いた。

 そして、口を開いた。

 「まずは——あなたたちの予定を申し上げる前に」


 糸子は——わずかに声を低くした。

 「高杉、久坂——貴殿らには、わたくしが、今、推し進めている計画」

 「『無血近代化計画』——」

 「その全容を、お話致しまする」


 高杉の眉が、ぴくりと動いた。

 久坂が、息を呑んだ。


 「無血——近代化ですか?」

 久坂が繰り返した。


 坂本が、にやりと笑って、しかし何も言わなかった。


 久坂と高杉は、同時に、龍馬の方を見た。


 高杉が低く訊いた。

 「龍馬、お前はその企てを知っちょるんか」


 龍馬は、、ゆっくりと答えた。

 「ずいぶん前に、姫様から教わった」

 「……でその企てのために、わしゃあ、姫様の心を受けて普段から動いちゅうがぜよ」


 久坂の眼が——大きく見開かれた。

 (——坂本殿が、既に動いておった……)

 (その企てのために、龍馬は、これまで走り回っておったのか)


 高杉が、少し間を置いた。

 そして、慎重に口を開いた。


 「……ちょっ待て、姫様」

 「そねーな、大事な話があるんなら——なして松陰先生は、ここにおってんないんか?」


 部屋の空気が、一瞬止まった。


 糸子は御簾の奥で、目を伏せた。

 その質問は、糸子が予想していた質問の最初のものだった。


 糸子は、慎重に声を整えた。

 「……吉田殿にはこの計画のことは、今後一切お話する気はありませぬ」

 「申し訳ございませぬが——」


 久坂が、顔を上げた。

 「なしてだ?」


 久坂の声には明らかな、戸惑いと抗議の色があった。

 「なして、先生には言わん」

 「先生のことが、信じられんのですか?」


 糸子は、静かに、首を振った。

 「高杉、久坂——」

 「そうではありませぬ」

 「人には、向き不向きがございまする」

 「今回の計画を教えることは——吉田殿にとって、不向きな事柄なのでございます」


 高杉が、眉を寄せた。

 「不向き——?」


 糸子は、ゆっくりと続けた。

 「はい」

 「吉田殿は——至誠の人にございます」

 「その志は、大変立派にございます」

 「なれど吉田殿は、真実しか言わぬお人にございます」

 「それでは——わたくしが、困ってしまうのです」


 久坂が、首を横に振った。

 「じゃから、なしてなんですか?」


 糸子は御簾の奥で、息を深く吸った。

 そして——本音を告げた。

 「この計画は、是が非でも成功させねばならないからにございます」

 「異国にこの日本を、好きにさせぬために」

 「もし吉田殿にこの計画を教えて——他で話されることは」

 「非常に、危険を孕む可能性があるからにございます」


 糸子は声の調子を、更に低くした。

 「最悪の場合——」

 「もし、この計画が幕府側に伝われば」

 「わたくしは殺されましょう」


 久坂と高杉が、息を呑んだ。


 糸子は続けた。

 「朝廷は、幕府の厳しい管理下に置かれ、御門様は、行動そのものを封じられる恐れがございます」

 「また、この計画の露呈により——日本で、内戦が勃発する恐れもございまする」

 「『無血』と計画で言っていたことの——逆のことが起こりましょう」


 久坂は、驚きで目を見開いた。

 高杉も、息を呑んだ。


 「姫様……」

 高杉が、ようやく声を出した。

 「そりゃあ、いくらなんでもおおげさやろう?」


 久坂が、龍馬の方を見た。

 「坂本殿はどう見ちょる?」

 「姫様は、言い過ぎじゃろうか?」


 龍馬は、首を横に振った。

 ゆっくりと、しかし確実に答えた。

 「いや」

 「姫様の言いゆうことは——最悪を考えた言い方じゃが、何ら間違うちゃあせん」

 「姫様の心を受けて、わしも動いちゅうきに」

 「もしその企てがバレて、幕府に知られたら——」

 「わしも、間違いなく死罪になるろうな」


 その龍馬の言葉に——久坂と高杉は、もう一度息を呑んだ。


 高杉は、しばらく腕を組んで考えた。

 「………」


 久坂が、ぼそりと呟いた。

 「……確かに、先生は真実しか言わんお人だ」

 「しかし——」


 高杉が、ゆっくりと、口を開いた。

 「龍馬が、そねーに言うんなら——それほどの企てなんじゃろう」

 「ましてその企てを先生が知ったら——」

 「誰かに、必ず話してしまわれるじゃろうな」


 久坂が——身を起こした。

 「晋作!」

 「そこは、わしらが手助けすりゃあ問題なかろう」


 高杉が、首を横に振った。


 「久坂、もっと現実を見にゃあ、いけん」

 「どんなに気をつけておっても、そりゃあ、無理な話じゃ」

 「必ず漏れる」


 久坂が、——目を伏せた。

 「そねーな……」


 部屋に、重い沈黙が降りた。


 火鉢の炭が——ちりちりと燃えていた。

 糸子は、御簾の奥で、静かに口を開いた。

 「高杉、久坂——」

 「いかが致す?」

 「今ならば、まだ引き返せまする」


 二人の動きが——止まった。


 糸子は、続けた。

 「なれど——この計画を知れば」

 「お二人は、決して元には戻れぬ」

 「そして——戻さぬ」


 部屋の空気が、更に重くなった。

 糸子の声が、——静かに続いた。

 「あと、」

 「この計画には、吉田殿のお力は必ず必要にございまする」

 「お任せしたい、お役目もありまする」


 高杉の眉が、わずかに動いた。

 「……なるほど」


 高杉は、ゆっくりと続けた。

 「先生は、企てのことは、知らんが、」

 「そのお役目が、企ての一部になるっちゅうことじゃな」


 糸子は、頷いた。

 「そうでございます」


 高杉は、しばらく考えてから、ふっと笑った。

 「わかった!」

 「感情は、納得しちょらんが——納得させちゃる」

 「それに久坂と俺は、姫様の駒として動くっち、決めたんじゃ」

 「まして、その計画が異国と対抗するため」

 「そして今の日本が、新しゅうひっくり返るんじゃ」

 「そこに加われるっちゅうのは——」

 「なんとも——小気味、ええ」

 「そうは思わんか、久坂!!」


 久坂は、しばらく目を閉じていた。

 そして——ゆっくりと、目を開けた。

 「天は…御簾の向こうにおられる」

 「……分かりました」


 糸子は、御簾の奥で深く頷いた。


 高杉が、続けた。

 「姫様は、その企てを、俺らに教えることで——」

 「『先生を、逆にうまく誘導せえ』っちゅうことじゃろう?」

 「違うか?」


 糸子は、御簾の奥で、ふっと笑った。

 「さすがでございます、高杉」

 「あなたたちが、吉田殿を誘導することで、この計画で十全に動くことができましょう」


 坂本が、口を開いた。

 「そいたぁ、話が無事まとまったところで…」

 「その企ての中身を——早々に、話そうかのう!」


 久坂が慌てて、龍馬を見た。

 「坂本殿——」

 「そりゃあ、さすがに……」


 高杉が、わずかに苦笑した。

 「龍馬——なしてお前が、一人でおいしいところを、持っていこうとしちょるんじゃ」


 糸子は、御簾の奥で笑った。

 「くすくすくすくすくす——」


 その小さな笑い声が、重い空気を一瞬で和らげた。


 糸子は、御簾の奥で、一度、深く息を吸った。

 奥御殿の御座所は、奇妙な空気に満たされていた。


 新春の朝の光は、相変わらず障子越しに白く差し込んでいた。火鉢の炭は、ちりちりと燃え続けていた。床の間の冬梅の蕾は、半ばまでほころんで淡い紅色を見せていた。


 しかし、その穏やかな新春の風景の中に——日本の未来を変えるかもしれない計画の開示が、今まさに行われようとしていた。


 糸子は、御簾の奥で声を整えた。


 「それでは——『無血近代化計画』をお話致します」

 「葵、この帳面をお二人の前に」


 御簾の横で控えていた葵が、静かに頷いた。

 「はい、姫君様」

 葵は御簾の中に入り、文机の上に置かれていた一冊の帳面を両手で受け取った。


 その帳面は、表紙が藍色で無地、しかし上等な紙質のものだった。表紙には何の文字もなかった——ただし、内容を見れば、日本の運命を変えうるものだということがすぐに分かる帳面だった。


 葵は、その帳面を、御簾の外に持って出て久坂と高杉の前に丁寧に置いた。


 高杉が、緊張した声で訊いた。

 「見ても——?」


 糸子の声が、御簾の奥から、響いた。

 「存分にお改めを——」


 久坂が、高杉の方を見て頷いた。

 二人は同時に、帳面を開いた。


 頁をめくる音が、御座所に静かに響いた。

 二人は、頁を読み始めた。

 時間が——止まったかのように感じられた。


 帳面の最初の頁には、大きな字でこう書かれていた。


 「無血近代化計画」

 「目標——内戦なき日本の近代国家建設」

 「期間——十年」


 高杉が、目を見開いた。

 久坂も、息を呑んだ。


 その下に、三段階の構成が、書かれていた。

 「第一段階——人材確保・制度設計・後継者問題着手(三年)」

 「第二段階——雄藩会議の試験運用・軍制改革設計・情報網拡充(四年)」

 「第三段階——公議政体への移行実行・新政府制度化(三年)」


 高杉は、息を呑んだまま、頁をめくった。


 次の頁から、具体的な内容が書かれていた。


 〈第一段階——基盤固めと人材確保〉


 最優先課題は、将軍職の後継者問題の決着。

 御門様の御代の安定なしには、何も動かない。この問題を先送りにすると、政治的空白が、列強の介入を招く。

 権力移行を「段階的」に設計する。「将軍制度そのものを、公議政体に移行させる下地を、徳川側に作らせる」。

 新将軍には、「幕府の守護者」としてではなく、「新体制への橋渡し役」として、早期に位置づける。


 久坂の眉が、ぴくりと動いた。


 「……新将軍を、新体制への橋渡し役として位置づける」

 「これは——徳川を敵にせず、逆に利用するということか」


 高杉も、頷いた。

 「徳川を倒さず、徳川を使って、徳川自身に改革を進めさせる」


 「これは、たまげた発想じゃ」

 二人は続けて頁をめくった。


 次の項目にこう書かれていた。

 〈役割分担の確立〉

 幕府側の代表と、幕府内の合意形成。朝廷側からも動く。この「二方向からの挟み込み」が無血移行の核心。

 「幕府が先手を打って改革を提案すれば、他藩に主導権を奪われない。公議政体を幕府側から提案することが、徳川家を守る最も確実な道だ」という論理を徳川側に納得させる。


 久坂が、驚いた声を上げた。

 「これは……徳川自身に『公議政体への移行は、徳川を守る道なんじゃ』と納得させるっちゅうことか」

 「徳川が自分からその道を選ぶように、仕向けていくんじゃ」


 「こりゃあ……」

高杉が、苦笑した。

「……上手いこと考えたのう」

「徳川を直に敵に回すどころか、徳川自身に新しい仕組みを作らせるっちゅうわけじゃ」


 二人は頁をまためくった。


 〈軍制改革の設計〉

 近代軍制を理解している人物に、「朝廷直属の近代軍」の設計図を作らせる。

 今すぐ、実行はできない。今は「設計図を作る段階」。

 西洋各国の軍制を比較分析させ、日本の実情に合った段階的な軍制近代化案を文書化する。この文書が後に「御親兵設置」の理論的根拠となる。


 高杉が、目を上げた。

 「これは——村田殿にやらせるおつもりですかの?」


 糸子の声が、御簾の奥から響いた。

 「左様にございます」

 「村田殿は長州藩出身ながら適塾で蘭学を修め、宇和島藩で軍制改革に関わった経歴をお持ちの御方」

 「彼ほど、この構想を作るに、適した人物はおりませぬ」


 久坂が、感嘆の声を上げた。

 「だから村田殿を、既に商務語学所の学長としてお抱えになっておったのか?」

 「全ては、繋がっちょったのですね」


 糸子は、御簾の奥で静かに頷いた。


 二人は、頁を次々とめくっていった。


 〈第二段階——制度設計と試験運用〉

 公議政体の萌芽を、「改革」に乗せる。

 幕府は、数年後に「参勤交代の緩和」と「諸大名の上洛」を、行う見込み。この時期に合わせて、京都に有力藩主を集めた「雄藩会議」の常設化を朝廷側から仕掛ける。


 表向きは「御門様の御意向を、直接お聞きする場」という形。御門様の権威を使えば、諸藩も断れない。

 この会議が、後の「列侯会議」「議政官」へと発展する土台となる。


 久坂が、息を呑んだ。

「こりゃあ……朝廷を中心に、力のある諸藩を合議体に組み込むっちゅう構想か」

「主上様の権威を――仕組みにするっちゅうわけじゃな」


 高杉が、頷いた。

 「『朝廷の威光』を、曖昧な精神的なもんではなく、実体のある政治制度として再構築するんじゃ」

 「これは、新しい」


 二人は、頁をめくった。


 〈諸藩との関係構築〉(最重要)

 諸藩が政治的に台頭してくる。彼らを「敵」にしない。しかし「主人公」にも、させてはいけない。

 戦略は「朝廷の大きな絵の中に、取り込む」こと。

 彼らに「攘夷」という旗を掲げさせながら、その旗の意味を「国内の外国人排除」ではなく「海外での国威発揚と資源確保」へと、静かに書き換えていく。


 久坂が、頁の上で固まった。

 「これは——『攘夷』の定義を変える…というのか?」

 「『国内の異人を、追い払う』から——『海外で国威を発揚し、資源を確保する』へ」

 「これは……」


 高杉が、ぼそりと呟いた。

「攘夷の向きを――逆転させるっちゅうわけか」

内側うちがわに向いちょったもんを、外に向くように変えるんじゃ」

「先生が、これを聞いちゃったら――」


 久坂が、苦笑した。

 「先生は烈火のごとく、お怒りになられるじゃろう」

 「先生にとって攘夷とは、夷狄を…武力で追い払うこと」

 「『海外進出』などと、口にしようものなら、『この国を、夷狄と同じ穢らわしき侵略者にする気か!』とお叱りを受けるじゃろう」


 高杉も、頷いた。

 「……だから、姫様は、先生にこの計画を教えん…ちゅうことか?」


 糸子の声が、御簾の奥から、静かに響いた。

 「左様にございます」

 「吉田殿の至誠は、立派にございます」

 「なれど——その至誠は、この計画の繊細さに合いませぬ」

 「だからこそ、お二人が吉田殿を、誘導していただく必要があるのです」


 二人は、頁を更にめくった。


 〈第三段階——移行の実行〉

 大政奉還の「事前設計」

 「奉還した方が、徳川にとって得だ」という状況を作ること。

 各所に対して、それぞれ異なる言い分で、「大政奉還+公議政体移行」を、同時に納得させる工作が必要。


 〈新政府の設計図の先行準備〉

 大政奉還の後に「誰が、何をするか」が決まっていなければ混乱は必至。

 後の官制設計を事前に、文書化しておく必要がある。これが後の「太政官制」の原型となる。


 久坂が、目を見開いた。

「これは……大政奉還を、徳川自身に選ばせるっちゅうんですかの?」

「徳川が『こりゃあ得じゃ』と判断するように、周りの状況を整えておくんじゃ」


 高杉も、頷いた。

 「徳川を、武力で追い詰めるんじゃのうて――」

「徳川自身が『これが一番ええ道じゃ』と――判断する流れを作るっちゅうことか」

「こりゃあ……ぶち、緻密じゃのう」


 二人は、頁をめくった。


 〈具体的な徳川への扱い〉

 徳川慶喜を「議政官(上院)議長」に据える。

 幕府を「倒すべき敵」ではなく、「新国家の最大の出資者」として扱う。

 将軍が「政権を朝廷に返す(大政奉還)」と同時に、朝廷は元将軍を新政府の最高意思決定機関である「列侯会議(議政官)」の議長に任命する。


 徳川家は「支配者」ではなくなるが、「政治の頂点」という地位は維持する。


 高杉が、驚いた。

 「こりゃあ……徳川を新しい仕組みのてっぺんに、据え続けるっちゅうことか」

「新政府の議長として、徳川を残すんじゃ」

「徳川を支えちょる旗本たちの反発を、封じ込めるための仕掛けっちゅうわけじゃな」


 久坂が、感嘆した。

「こりゃあ……うまいこと考えたのう」

「徳川は、『支配者』じゃあなくなるが、『てっぺん』のままでおれるっちゅうわけか」

「徳川にとっても、ありゃあ悪い取引じゃあないの」


 二人は、続けて頁をめくった。


 〈幕府の軍事・官僚組織の活用〉

 幕府には、日本で唯一の「西洋式海軍」と、「近代的な行政組織」がある。これを解体せず、名前だけ変えて、朝廷の直属とする。

 ・幕府海軍 → 「日本国海軍」へ改称。指揮官もそのまま続投。

 ・幕府陸軍 → 「御親兵」の中核に組み込み。

 ・勘定奉行(財務担当) → 「大蔵省(仮名称)」へ移行。


 幕臣たちにとって生活の糧である職を失わず、かつ「御門様のために働く」という新しい名誉が与えられるため、謀反の危険が激減する。


 高杉が、息を呑んだ。

「……こりゃあ、たまげたのう」

「幕府の仕組みを――そのまま新政府に組み込むっちゅうんか」

「幕臣らの暮らしを保障してやる……」

「こりゃあ……ぶち合理的な話じゃ」


 久坂が、頷いた。

「これなら、幕臣らも、逆らう理由がありゃあせん」

「それどころか、新しい政府の中でも、自分の地位を守れるっちゅう風に考えるじゃろうのう」


 二人は頁を、最後までめくった。


 〈徳川領地の処理〉

 徳川家には「私領」として一定の土地(百万石程度)を残し、残りの領地は「朝廷の直轄地」とする。

 ただし、その管理実務は引き続き、旧幕府の代官たちに任せる。


 〈経済と財源〉

 天朝御用商務惣会所を「外交窓口+資金調達機構」として本格化させる。

 藩札を廃止し全国共通の通貨を導入。海外資源(石炭・金・銀)を担保に外債を発行する。


 〈版籍奉還と官僚機構〉

 最終的には土地と人民を御門様に返し、藩主を「地方長官」へと変化させる。

 門閥(家柄)ではなく、海外の知識や科学技術に明るい者を「朝廷の官吏」として採用する。


 高杉と久坂は、帳面を最後まで読み終えると、しばらく動けなかった。

 二人の額には、汗が滲んでいた。


 高杉が、絞り出すように声を出した。

 「こりゃ……」


 久坂が、目を上げ御簾の奥を見た。

 その目は、畏怖の色を宿していた。


 龍馬が、隣で得意満面の笑みを浮かべた。

 「どうぜよ——」

 「たまげたろう?」


 高杉が、龍馬の方をちらりと見て苦笑した。

 「なして、お前がそねーな得意げな顔しちょるんじゃ?」


 龍馬が少し焦ったように、しかしにやけ顔のまま答えた。

 「ほら、まぁ……わしゃあ、この企てを知った先んじたるもんじゃきに」


 久坂が、龍馬を無視して、御簾の奥、顔を向けた。

 「ときに、姫様——」

 「この企ては、誰が考えられたもんで?」


 糸子の声が、御簾の奥から響いた。

 「わたくしでございます」

 「一ヵ月間籠って、ものすごーく頑張って考えました」


 久坂が、目を見開いた。

 「はぁ!?」


 高杉が、絞り出すように呟いた。

 「この密度の企てを、姫様が……?」

 「たったの、一ヶ月で……」

 「姫様の頭の中は、どうなっちょるんじゃ?」


 龍馬が、大袈裟に頷いた。

 「まっこと、たまげたぜよ」


 糸子は話を聞きながら、内心では…

 (貴方達のように特別頭が、良いわけではありません。ちょっと21世紀にいて、質の高い学びができていただけ。そういう日本という国を作ってくれた先人たちのお陰なのです。…たから本当になんかすみません)


 久坂が、慎重に、口を開いた。

 「……それで姫様は、こりゃあ、実現できるっち思っちょるんですか?」


 糸子の声が、明確に響いた。

 「夢や理想を形にしても、意味はございませぬでしょう」

 「各所においては、詳細を詰める必要性はまだまだございますが……」

 「わたくしは、それでも十分、実現可能な計画であると試算しておりまする」

 「それに——」


 糸子の声が——わずかに強くなった。

 「日本を、異国に好き勝手させぬために、是が非でも実現させるのでございます」

 「ただし——」


 糸子は続けた。

 「高杉や久坂や坂本——」

 「そして、具体的な計画内容を知らないながらも協力してくれる、吉田殿のような協力者が——絶対的に必要になりまするが」


 高杉と久坂は、しばらく黙っていた。

 二人の頭の中では、今読んだ計画の、巨大な絵が整理されていた。


 しかし、整理すればするほど、疑問も湧いてきた。


 高杉が慎重に、口を開いた。


 「姫様、一つ聞かせてございます」

 「徳川を新しい仕組みのてっぺんに置き続けるっちゅうんなら――」

 「徳川の中におる強情な連中は、どねーしますか」

 「あねーな奴らは、『大政奉還』なんか、絶対に認めんはずじゃ」


 糸子は、御簾の奥で頷いた。

 「良いご質問にございます、高杉」

 「徳川内部には、強硬派と穏健派がございまする」

 「強硬派は、会津藩主・松平容保殿、紀州藩主・徳川茂承殿。そして将来的には小栗忠順殿などが、その代表になりましょう」

 「これらの人々は——確かに簡単には、納得しませぬ」


 糸子の声が、続いた。

 「だからこそ——」

 「内部の誰を中心に、説得するかが重要になります」

 「鍵は、慶喜殿でございます」


 久坂の眉が、わずかに上がった。

 「一橋慶喜様ですか?」


 「左様」

 糸子は、続けた。

 「慶喜殿は、徳川の中で最も合理的に物事を判断できるお人」

 「強硬派と穏健派の間に立てるお方でもございまする」

 「慶喜殿が、『大政奉還が徳川を守る道だ』と理解されれば——内部の強硬派も慶喜殿の判断、に従うことになりましょう」


 「もちろんこれは——慶喜殿が将軍に近づいてからの長期計画でございます」

 「今は慶喜殿の周辺に、種を蒔いておく段階」

 「勝海舟殿がその役を担っておりまする」


 高杉が、感嘆した。

 「勝殿も、ありゃあもう、この企ての一枚に噛んどるっちゅうことか」


 糸子は、御簾の奥で頷いた。

 「勝殿は、計画の全容をすでにご存じでございますが、慶喜殿への影響を、自然な形で進めておられます」

 「勝殿は幕府側の人物でございますが、日本のために協力して動いてくれておりまする…」


 「ここは一橋上屋敷。朝廷の使者として滞在しているわたくしが、直接動くことは幕府側に不要な疑念を持たれまする」

 「それに一橋側もわたくしが滞在しておりまするが、不要に接触はしてきませぬ」

 「今、幕府はさらに難しい立場に立たされておりまする。不要な行動は控えておるのでしょう」


 高杉がにやりと笑う、

 「ぶち、一橋の屋敷の中でこねーな話をしちょるとは、幕府も一橋も、ゆめゆめ思うちゃおらんじゃろうて」

 「姫様は肝が太いんか? 恐ろしいもんを知らんだけなんか? どねーなんじゃろうな……」


 久坂が——次の質問を出した。

 「ほいじゃが、薩摩はどねーするつもりなんですか?」

 「あっこは、勝手に動く藩じゃけぇ」

 「あの連中を、この企てにどねーして引き入れるおつもりか」


 糸子は、御簾の奥で答えた。

 「薩摩は、確かに最も難しい相手にございます」

 「島津家は近衛家と、伝統的に縁の深い家柄」

 「この縁を活用致しまする」


 「ただし薩摩を、主導者にはさせませぬ」

 「薩摩を計画に組み込む時は、必ず長州との均衡を、保つ形で組み込みまする」

 「薩摩と長州が、共に朝廷の傘下で動く…という形を作るのでございます」


 高杉が驚いた。

 「薩長を、どっちも朝廷の下に置くっちゅうんか……」

 「そねーなことが、ほんまにできんのか……?」

 「姫様、まことのところ、どねーしてやるおつもりか?」


 糸子は続けた。

 「方法はすでに考えてありまする。ただし、今はまだお話できませぬ」

 「それが薩摩を計画に組み込む、最も確実な道にございまする」


 ……高杉と久坂は息を呑んだ。


 久坂がもう一つ質問した。

 「では——他の諸藩は、どう説得なさるのですか」

 「土佐、肥前などは、いずれも…独自の立場を持つ藩でございますが」


 糸子は、答えた。

 「土佐は、これから内部に種を蒔いきまする」


 「肥前は、当面…佐賀の藩政改革と近代化の動きを、見守ります」

 「肥前藩主の鍋島閑叟殿は、合理的な御方」

 「外圧と内部の状況が整えば、必ず計画に加わってきましょう」


 「他の諸藩は——薩長の動きに、自然に引きずられます」

 「これは、心配する必要がありませぬ」


 高杉が、小さく息を吐いた。

 「……全てが、繋がっちょるんじゃな」

 「人材も、計画も、藩の動きも——全部」


 糸子は御簾の奥で、静かに頷いた。


 龍馬が、にやりと笑った。

 「この企てを知って、乗らんがは——男じゃなあい!」

 「今、この瞬間にもわしらは、日本の新しい歴史を作っちゅうがじゃ」

 「それだけでも、こじゃんと、ワクワクするぜよ!」


 久坂が苦笑した。

 「歴史か……」

 「坂本殿らしい見解じゃな」

 「至誠は天に通ずる、っちゅうことじゃな」


 高杉が、深く頷いた。

 「おもしろい」

 「俺の考えと、被る部分もある」

 「乗らせてもらうっちゃ——姫様」


 糸子は御簾の奥で、息を深く吸った。

 「ただし——くれぐれも」


 高杉と久坂が、同時に頷いた。

 「口惜しいが——」

 「先生には、絶対に言わんけぇ、安心してください」


 糸子は、静かに答えた。

 「よしなにお頼み申し上げます」


十一

 部屋に、一呼吸の静寂が訪れた。

 障子の向こうの新春の朝の光が、変わらず柔らかく差し込んでいた。


 火鉢の炭は、ちりちりと燃え続けていた。

 冬梅の蕾は、少しだけ、更にほころび始めているようにも見えた。


 高杉と久坂は、まだ興奮の余韻に浸っていた。彼らの中では、新しい世界が開かれた直後だった。

 それまで「攘夷」という旗印の下で動いていた二人が「攘夷の意味そのものを書き換える」という——遥かに大きな世界に踏み込んだ瞬間だった。


 二人の額には汗が滲んでいた。しかし二人の目は、輝いていた。


 糸子は御簾の奥で、その様子を感じ取っていた。

 (——よし)

 (二人は本当に、計画の一部となった)

 (あとは彼らに、本格的、動いていただくための準備だ)


 糸子は、口を開いた。

 「さて——」

 「お話の前段階は、これで済みました」

 「これでようやく、本題に入れまする」


 坂本が、声を上げた。

 「えっ?」

 「姫様——こじゃあ、本題じゃないがですか?」


 高杉が、目を見開いた。

 「ほう……」


 久坂が、慎重に、訊いた。

 「わしらに何をさせる、つもりなんですか?」


 糸子は、御簾の奥で、息を吸った。

 「これから、久坂、高杉、坂本、吉田殿の四人には——」

 「わたくしが講師となり三月余——みっちりと、商務語学所で教える経済学を、特別に学んでいただきまする」


 部屋の空気が、一瞬凍った。


 坂本が、絞り出すように声を出した。

 「べ、勉強!?」

 「それも、三月余り、みっちりと……かえ???」


 高杉が——眉を寄せた。

 「経済学???」

 「はじめて聞く学問じゃのう」


 糸子は、淡々と続けた。

 「三月余と、期限を区切るのは——」

 「その後にそれぞれ、特別に動いて貰わなければならないためでございまする」


 久坂が、身を乗り出した。

 「そりゃあ、どねーなことですか?」


 糸子は、首を横に振った。

 「今は、言いませぬ」

 「教える経済学を、死ぬ気で勉強していただき、自分の血に肉にしていただきましたら、教えまする」


 高杉が、警戒した声で訊いた。

 「そいじゃあ、その勉強が、自分のものにできんかったら……」


 糸子は、明確に答えた。

 「当然——動いていただきませぬ」


 坂本が、頭を抱えた。

 「そりゃあ、ないぜよぉ〜〜」

 「姫様ぁぁぁーーー!!!」


 糸子は——御簾の奥で、少し笑った。

 しかし、声色はすぐに戻した。

 「ただし、これだけは言えまする……」


 糸子の声が、わずかに強くなった。

 「銭、すなわち経済は——あらゆるものに、直結しておりまする」


 「この経済学を、ご自身のものにすれば——」

 「これからは、違う視点、物の考え方や気づき、多角的に物事を見ることができまする」

 「今まで見えなかったものが——必ずや見えてきましょう」


 「それは、今後のあなた方の助けとなりましょう!」

 坂本、高杉、久坂は——同時に息を呑んだ。


 久坂が、慎重に訊いた。

 「姫様はさっき、松陰先生にも学んでもらうっち、言われちょりましたが」

 「そりゃあ、問題はないんですか?」


 糸子は、答えた。

 「はい、なんら、問題はありませぬ」

 「逆に、吉田殿が経済学を学ばれれば——言葉に、より説得力が生まれましょう」

 「それは計画の助けにも、なりまする」


 糸子は、続けた。

 「ちなみに、三月余と時間が区切られているため、経済学全てを学ぶことはできませぬ」

 「よって、それぞれの性格と能力などを加味して、わたくしが策定した内容を、特別に学んでいただきまする」


 糸子の声が、更に整った。

 「およそ八十五刻の修練」

 「九十日の間、毎日欠かさず、一刻は雑念を払い、真剣に書と向き合う時間を設けまする」

 「なれど、これだけは、肝に銘じておきなさい」

 「予習・復習、さらには同志との激論や実践を含めれば——」

 「一日のうちに、三刻から四刻は、学問に没頭することになりましょう」

 「明六つに起き出してから、日が落ちる暮六つ、あるいは夜更けの八つに至るまで——」

 「まさに、寝食を忘れて、己を磨き上げねばなりませぬ」


 高杉が——絞り出すように呟いた。

 「それぞれの性格と能力などを加味して……じゃと……?」


 久坂が、驚いた。

 「八十五刻の修練——」

 「そねーなことまで、学ばにゃあいけんのか?」


 糸子は、明確に答えた。

 「本来はこれでもまた、足らないくらいなのでございます」


 坂本が、困った声を出した。

 「それで、構わんがですかね? 姫様」


 糸子は答えた。

 「それぞれの今後、必要のないものは、学ばないということです」

 「あなた方ならば、それで、問題はないはずでございまする」


 久坂が、ぼそりと呟いた。

 「随分わしらのことを、分かっちょるようですねぇ」


 糸子は、御簾の奥で頷いた。

 「あなた方のことは、以前より調べさせていただいておりましたので——」

 糸子の内心。

 (——転生前の知識で、知っているなんて言えないもんなー)


十二

 その時——。

 廊下から、足音が近づいてきた。

 糸子の侍女・小夜であった。


 小夜は襖の前で、一度、止まった。

 「姫君様、失礼致します」


 糸子の声が、御簾の奥から響いた。

 「お入りなさい」


 小夜は、襖を開けて入ってきた。

 御簾の前で、丁寧に平伏した。

 「吉田殿が——お見えになられました」


 糸子は、御簾の奥で深く頷いた。

 「それは、ようございました」

 「小夜、吉田殿を、こちらに案内してくださいまし」


 「はい、しばらくお待ちください」

 小夜は、——もう一度、平伏してから部屋を退出した。


 部屋の空気が、わずかに緊張した。


 糸子の声が、御簾の奥から響いた。

 「それではこの後——吉田殿が参られましたら」

 「さらに具体的に、お話を致しましょう」


 坂本、高杉、久坂は——同時に姿勢を正した。


 高杉が、隣の久坂に、小声で囁いた。

 「久坂、心して応対せよ」

 「先生は、姫様のお言葉を聞いて——必ず何かを、感じ取ろうとされる」

 「姫様の真意を、悟られぬように、表情を保て」


 久坂が、頷いた。

 「分かっちょる」

 「……晋作も、しっかり芝居をせよ」


 高杉が、苦笑した。

 「俺は、芝居は得意じゃ」

 「心配いらん」


 坂本が、その様子を横から見て、にやにやと笑った。

 「お主たちいきなり、息が合うちょるな」


 糸子は御簾の奥で、その三人の様子を見ていた。

 (——よし)

 (高杉も久坂も、既に計画の一部として、動き始めてもらわなくては…)

 (あとは、吉田殿の到着を待つだけだ)

 (吉田殿には——彼の至誠を、最大限に活かす役目をお任せしよう)

 (彼の心を傷つけることなく、しかし、彼の動きを、わたくしの計画に自然に組み込む)

 (それが、わたくしのこれからの仕事だ)


 糸子の眼の奥に、確かな決意の色が宿っていた。


 御座所の障子の向こう、——新春の朝の光が、白く柔らかく差し込み続けていた。

 火鉢の炭は、ちりちり、燃え続けていた。

 床の間の冬梅の蕾は、もう少しで花を咲かせそうだった。


 遠くの廊下から、吉田松陰の足音が近づいてくる気配が感じられた。


 第八十四話 了

最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m

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