第三話「御所の目、と見抜く者」
御所に初めて上がったのは、秋の晴れた朝だった。
近衛家から御所までは、さほど遠くない。京の都は狭い。しかし糸子にとって、その短い道のりは妙に長く感じられた。
理由は分かっている。
緊張、ではない。
前世の咲は、百貨店の外商部門で大手企業の役員や資産家の邸宅に出入りした経験がある。どれほど格式のある場所でも、物怖じしない自信はある。
緊張ではなく、観察への集中だ。
御所というのは、情報の宝庫だ。誰が誰と話しているか。どの女官がどの立場にいるか。台所の実態はどうなっているか。建物の状態は。人の顔色は。
全部、自分の目で確かめたい。
その一点に意識が集中しているから、道が長く感じられた。
「姫様、緊張なさっていますか」
隣を歩くお梅が小声で聞いてきた。
「していません」
「そうでございますか。お顔がいつもと違いますので」
「観察しているのです」
「観察」
「御所がどのような場所か、ちゃんと見ておきたいので」
お梅が少し間を置いた。
「……姫様は本当に、いつも何かを考えておられますね」
「何も考えていない時間は、もったいないですから」
近衛家の者として御所に上がること自体は、格式の上では何の問題もない。五摂家筆頭の姫君が御所に出入りするのは、むしろ自然なことだ。
今日の名目は、台所方への挨拶と、先日手配した食材の納入確認だ。
取り次いでくれたのは、御所台所方の責任者である年配の女官だった。名を、さとという。
さとは六十近い、小柄で背筋の伸びた女性だった。長年御所に仕えてきた人間特有の、静かな威厳がある。糸子を見る目は、最初から値踏みをしていた。
「近衛様の姫君がわざわざお越しとは、恐れ入ります」
「こちらこそ、お時間をいただきありがとうございます」
糸子はさとの視線を正面から受けた。
さとが何を見ているか、分かった。「六歳の姫君が、本当にこの商売を仕切っているのか」という確認だ。
公家の子女が御所の台所の話をしに来るなど、普通はない。本来であれば父上か、近衛家の執事格の者が動くべき話だ。六歳の姫君が直接出向いてくること自体が、異例だった。
しかしさとは、それを口に出しては言わなかった。
近衛家の姫君に対して「なぜご自身で」と問うことは、格式の上では差し出がましい。さとは御所の女官として長年の経験がある。その礼法を崩すことはない。
糸子はその沈黙を使った。
「先日手配いたしました食材の品質については、いかがでしたか」
「はい、大変結構なものでございました。特に宇治の茶は……久しぶりに上質のものをいただきました」
「それは良うございました。今後も定期的にお届けできるよう、手配いたします」
「ありがたいことで……しかし、近衛様にそのようなご負担を」
「負担ではございません」糸子は静かに言った。「御所がお困りの際に少しでもお役に立てることは、近衛家の本来の務めでございます」
さとの目が微かに動いた。
本来の務め、という言葉の使い方が、糸子は気に入っていた。商売の話を「御奉仕」に変換する言葉だ。一話目に父上に言った言葉と同じ論理だ。
さとは深く頭を下げた。
「……姫様のお心遣い、台所方一同、有り難く頂戴いたします」
交渉成立だ。
さとに案内されて台所方の一角を見せてもらいながら、糸子は素早く状況を確認した。
食材の保管状態。調理場の清潔さ。働いている女官の人数と年齢層。調理道具の状態。
全体的に、人手が足りていない。
本来これだけの規模の台所を回すには、もっと多くの人員が必要なはずだ。しかし今いる人数は明らかに少ない。一人一人が複数の役割を兼ねている様子が、動き方から見て取れた。
前世の百貨店で、売り場の効率化を手伝ったことがある。人員が足りない中でどう回すか、という問題は見慣れている。
しかしここで「人員を増やしましょう」と提案するのは早い。
まず信頼を積み上げることが先だ。
糸子は台所方の見学を終えて、さとに礼を述べた。
「大変参考になりました。また近いうちにお邪魔してよろしいですか」
「もちろんでございます。いつでもお越しを」
帰り際、糸子はさとに一つだけ付け加えた。
「さと様、一つお願いがあります」
「はい」
「今日の訪問について、御所の外には……特に幕府方のお耳には入らないようにしていただけますか」
さとが少しだけ目を細めた。
「それは……なぜでございましょう」
「近衛家が御所のお台所のお手伝いをしているとなると、幕府から余計な口を出されることがあるかもしれません。臣下の務めを果たしているだけのことに、外から口を挟まれるのは煩わしい。それだけの話でございます」
さとは少し間を置いてから、頷いた。
「心得ました」
その返事が、思ったより早かった。
さとも同じことを考えていたのかもしれない、と糸子は思った。御所の内情を幕府に知られることへの、女官としての警戒心がある。
利害が一致した。
帰り道、御所の廊下を歩いていた時だった。
角を曲がったところで、糸子は立ち止まった。
廊下の先に、一人の少女がいた。
年の頃は、糸子より少し上だろうか。八歳か九歳か。御所の女官見習いらしい装束を身に着けている。手に文書を持って、何かを確認していた。
糸子が立ち止まったことに気づいたのか、少女が顔を上げた。
目が合った。
糸子は、その目を見た瞬間に何かを感じた。
言葉にするのが難しい感覚だ。
普通ではない、という感じ。
子供の目ではない。いや、子供の目ではあるのだが、その奥に何か別のものがある。大人でも持っていないような、静かな知性の光。
しかし糸子がそれ以上考えるより先に、状況が問題を提示した。
この少女は、御所の女官見習いだ。
近衛家の姫君である糸子より、格式は圧倒的に下だ。
御所内の礼法では、格式の下の者が上の者に先んじて話しかけることは、極めて礼を失する行為だ。この少女が糸子に声をかけることは、本来あってはならない。
だから少女は黙って、静かに頭を下げた。
糸子もその礼法は理解している。
この場で少女に声をかけるかどうかは、糸子の判断次第だ。
糸子は少女の目をもう一度見た。
頭を下げていても、伏せた目の奥に光がある。
糸子は決めた。
「面を上げなさい」
少女が顔を上げた。
糸子は少女を正面から見た。
「名前は」
一瞬の間があった。
少女が静かに答えた。
「……村岡、と申します」
「村岡。御所に上がって長いですか」
「まだ半年にもなりません」
「どこから来ましたか」
「備前岡山の、武家の家から参りました」
武家。公家ではない。
御所の女官には公家の娘だけでなく、各地の武家や町人の出身者もいた。特に技能を持つ者は身分を問わず採用されることがある。
「何ができますか」
「……読み書きと、算術を少々」
「算術」
「はい」
糸子は少し考えた。
算術ができる女官見習いは、珍しい。
「どの程度できますか」
少女が少し迷った様子だった。
それから答えた。
「台所方の帳面を、昨日確認しました。三か所、計算が合っていない箇所がございました」
糸子が内心で眉を上げた。
自分から言ったのではない。聞かれたから答えた。しかしその答えの内容が、かなり踏み込んでいる。台所方の帳面の計算間違いを見つけた、というのは、単に算術ができるという話ではない。数字を見て問題を発見できる、ということだ。
「さとに言いましたか、その三か所を」
「……まだ、です。どのようにお伝えすればよいか、考えておりましたので」
「どのように伝えるかを考えていた、というのは」
「台所方の帳面を任されているのは、先輩の女官でございます。わたしのような新参者が『計算が違います』と申し上げるのは……」
「難しいということですね」
「はい」
糸子は少し考えた。
この少女は、正しいことをしようとして、方法に詰まっている。
それは悪いことではない。むしろ、方法を考えているということ自体が、ただ言われたことをこなすだけの人間との違いを示している。
「さとに言う前に、まず帳面の担当者に確認を取りなさい。計算間違いではなく、自分の読み違いかもしれないという言い方で。そうすれば相手も傷つかない」
少女が目を大きくした。
「……そのような言い方があるのですか」
「伝えたい内容は同じでも、言い方を変えれば相手の受け取り方が変わります。正しいことを言えばいいだけではない。正しいことを、相手が受け入れられる形で言うことが大事です」
少女が黙った。
糸子はそれ以上は言わなかった。
お梅に目配せして、歩き始めた。
廊下の角を曲がる前に、糸子はもう一度だけ振り返った。
少女がまだその場に立って、こちらを見ていた。
その目に、何か新しいものが灯っていた。
近衛家への帰り道、お梅が小声で言った。
「姫様、あの御方をご存じですか」
「知りません。今日初めて見ました」
「村岡、と名乗っておいででしたが……御所の中でも、ちょっと変わった子だと聞いております」
「変わった、とは」
「賢すぎるというか……女官見習いなのに、御所の帳面の間違いを見つけたとか、台所方の食材の無駄を指摘したとか。半年しか経っていないのに、もうそういう話が出ているそうで」
糸子は少し考えた。
「悪い話ではないですね」
「それが……古参の女官の方々には、あまり好かれていないようで。生意気だと」
「正しいことを言うから、嫌われている」
「そのようで」
糸子は前を向いたまま言った。
「次に御所に来た時、またあの子に会えるよう、さとに頼んでおいてください」
お梅が驚いた顔をした。
「それは……なぜでございますか」
「算術ができて、数字を見て問題を発見できて、どう伝えるかを考える子です。使える人材かどうか、もう少し確かめたい」
「姫様、あの子はまだ御所の女官見習いで」
「今はそうです。しかし人材は、見つけた時に手を打っておかないと、取り逃がします」
お梅がまた困った顔をした。
「姫様は……本当に商売人のように物事を考えておられますね」
「商売人のように、ではなく、商売人として考えています。近衛家の御内証方を任されているのですから」
近衛家に戻ってから、糸子は父上に御所訪問の報告をした。
さとと良い関係を築けたこと、食材納入の継続が確定したこと、御所御用達の称号に向けての地ならしが進んでいること。
父上は糸子の報告を聞きながら、時々驚いた顔をした。
「御所御用達の称号とは……それは簡単に得られるものではないぞ」
「だから今から丁寧に積み上げているのです」
「しかしそのような称号があると、具体的に何が変わるのだ」
糸子は帳面を開いた。
「例えば、今わたくしたちが扱っている西陣織があります。今の値段で売れています。しかし御所御用達の称号がつけば、同じ品が今より三割から五割高く売れます」
「なぜそうなる」
「品物の価値は、品物そのものだけで決まらないからです。誰が使っているか、誰が認めているか、それによって値段が変わります。御所御用達とは、御門様のお眼鏡にかなった、という意味です。それより上の保証はこの国にはない」
父上がしばらく考えていた。
「……それは、分かるが」
「それに」糸子は続けた。「御所御用達という看板は、幕府からの横やりを防ぐ盾にもなります。近衛家の商売に文句を言うことは、御所への奉仕に文句を言うことになる。そう解釈させることができます」
父上の顔が変わった。
「……それを最初から考えていたのか」
「はい」
「屋根を直したいと言い出した時から」
「屋根を直すだけなら、御所は関係ありません。しかしその先を考えれば、御所との関係は最初から組み込んでおくべきでした」
父上がため息をついた。
しかし今日のため息は、困惑ではなかった。どちらかというと、感心に近い響きがあった。
「糸子、お前は将来どうしたいのだ」
糸子は少し考えた。
「近衛家を、この国で最も豊かで、最も賢く動ける家にしたいと思います」
「豊かで、賢く動ける」
「豊かさがなければ、動けません。動けなければ、この国が外国に食い物にされる時に、何もできません」
「外国に食い物にされる……それはどういうことだ」
父上の目に、真剣な光が宿った。
糸子は父上を見た。
この人は馬鹿ではない。典型的な公家の当主として、外の世界に疎い面はある。しかし理解する能力がないわけではない。
どこまで話すか、少し考えた。
「父上、南蛮の国々のことを、どの程度ご存じですか」
「……長崎に出入りしているオランダ国と、唐土の清朝が阿片戦争で英吉利国に敗れたという話は聞いている」
「清朝が英吉利国に敗れた戦争の詳細を、もし機会があればお読みになってください。この国にとって、あの戦争は他人事ではありません」
「他人事ではない……とは、いったい」
「清朝は大国でした。人口も土地も、英吉利国など比べものにならないほど大きい。しかし負けました。武器の差だと思われがちですが、実は準備の差です。相手のことを知らなかった。知らないまま戦った。それで負けた」
父上が黙った。
「この国も、同じことになりかねません。今のうちに準備をしておかなければ」
「準備、とはどのような」
「まず金を作ること。次に情報を集めること。そして外国と対等に話せる立場を作ること」
父上はしばらく沈黙していた。
それからゆっくりと言った。
「……続けなさい、糸子。父に分かることは何でも協力しよう」
糸子は頭を下げた。
「ありがとうございます、父上」
十日後、糸子は再び御所を訪ねた。
さとへの挨拶を済ませた後、さりげなく言った。
「先日、廊下で見習いの女御子に少し話しかけました。村岡という子です。今日もいますか」
さとが少し間を置いた。
「……おりますが。あの子が何か」
「少しだけ話したいことがあります。時間をとっていただけますか」
さとの顔に、複雑な表情が浮かんだ。
「姫様、あの子は……少々扱いが難しい子でして」
「扱いが難しい、というのは」
「賢いのは確かなのですが……古参の者たちとの折り合いが今一つで。正しいことを言いすぎるのか、周りと馴染めていない部分があります」
「なるほど」
糸子は頷いた。
「だからこそ少し話してみたいのです。近衛家のお手伝いをしてもらえるかどうか、確かめたいので」
さとが目を丸くした。
「近衛家のお手伝い、でございますか。あの子を」
「御所の中でうまく使えていないなら、外でお借りしたほうが双方のためになるかもしれません。御所を辞めさせるわけではなく、時々近衛家に出向いてもらう形で」
さとがしばらく考えた。
「……あの子もそれを望みますかどうか」
「確かめてみましょう」
村岡が連れてこられた時、糸子はさとに席を外してもらった。
二人だけになった座敷で、糸子は村岡を正面から見た。
村岡は緊張していた。近衛家の姫君に呼ばれた理由が分からず、表情が固い。
しかし目は固まっていない。
糸子は単刀直入に言った。
「先日の帳面の件、その後どうしましたか」
村岡がわずかに驚いた顔をした。
「……姫様がお教えくださった通りに、担当の先輩に申し上げました」
「どうなりましたか」
「確認していただいたところ、やはり三か所、計算が合っていませんでした。訂正してくださいました」
「その先輩は怒りましたか」
「……最初は少し、ご不快そうでしたが。最終的には、気づいてくれてよかったと仰っていただきました」
「うまくいったのですね」
「はい。……姫様のお言葉のおかげでございます」
糸子は少し間を置いた。
「村岡、近衛家のお手伝いをしてもらえますか」
村岡が固まった。
「て、手伝い……でございますか。わたしのような者が」
「算術ができて、数字を見て問題を発見できる人が必要なのです。御所を辞めてほしいわけではありません。時々近衛家に来てもらって、帳面を見てもらえれば」
「しかし、わたしは御所の女官見習いで……」
「さとに話は通してあります」
村岡が口を閉じた。
糸子は続けた。
「断っても構いません。ただ、あなたが御所の中で居心地が悪い思いをしているなら、外に別の居場所があっても損はないと思います」
村岡がじっと糸子を見た。
その目が、ゆっくりと動いた。値踏みではなく、考えている目だ。
しばらくして、村岡が言った。
「……一つ、お聞きしてよろしいですか」
「どうぞ」
「姫様は、なぜわたしなのですか。御所には他にも……」
「他にいないからです、あなたのような人は」
村岡が黙った。
「算術ができる人はいます。帳面を読める人もいます。しかしどう伝えるかを考える人は少ない。正しいことをただ言うのではなく、相手が受け入れられる形で言うことを、自然に考えられる人は」
「わたしは……それを考えていたわけではなく、ただ怖かっただけで」
「怖いと思ったから、方法を考えた。それで十分です」
村岡がまた黙った。
今度の沈黙は長かった。
糸子は待った。
急かさない。この子が自分で決めることが大事だ。
やがて村岡が、静かに頭を下げた。
「……よろしくお願いいたします」
その帰り道、お梅が歩きながら小声で言った。
「姫様、あの子を本当に近衛家のお手伝いに引き込んでよかったのですか。御所の女官見習いを、近衛家が抱え込むのは」
「抱え込むわけではありません。御所に籍を置いたまま、時々手伝ってもらうだけです」
「しかし古参の女官たちに、姫様が引き抜いたと思われると」
「さとが了承しているなら問題ありません。それに古参の女官たちが村岡を好いていないなら、外に出してあげるのは御所にとっても好都合でしょう」
「姫様は……本当に抜け目ないですね」
「褒め言葉として受け取ります」
お梅が苦笑した。
糸子は前を向いたまま続けた。
「お梅、人材を見つけることと、育てることは、商売と同じくらい大事な仕事です。わたくし一人では、やれることに限りがあります。やがてもっと大きな仕事をするには、信頼できる人が要ります」
「村岡という子が、そのひとりになれると」
「まだ分かりません。しかし可能性はあります。可能性のある人間に、機会を与えない理由はない」
秋の空が高かった。
御所から近衛家への道を歩きながら、糸子は頭の中で計算を続けた。
御所御用達への道筋。鴻池との取引拡大。江戸への販路。村岡という新しい人材。
一つ一つは小さい。
しかし積み重なれば、形になる。
黒船まで、あと何年か。
まだある。
糸子は歩みを速めた。
やることが、たくさんある。
近衛家に戻った夜、糸子は帳面に書き込んだ。
御所台所方との関係確立。さとの信頼を得た。
村岡、近衛家の手伝いに加わることになった。算術と数字の読み方に長ける。今後の活用方法を検討する。
筆を走らせながら、糸子は村岡の目を思い出した。
あの目は、何かを知っている目だ。
いや、正確には、何かを理解しようとしている目だ。
前世の咲が研究者を志した時、似たような目をしていたかもしれない。
しかし村岡は今、御所の女官見習いとして古参の女官たちに居場所を削られている。
正しいことを言いすぎるから、嫌われている。
それは咲も経験したことだ。百貨店で新しい提案をするたびに、古参の社員から「余計なことを言うな」と煙たがられた。
しかし糸子には、村岡を守る立場がある。近衛家の姫君という肩書きがある。
使える肩書きは使う。
それが商売だ。
糸子は帳面を閉じた。
行灯の灯を見つめながら、今日一日を振り返った。
さとの信頼を得た。村岡という人材を見つけた。御所との関係が一歩進んだ。
小さな積み重ねだ。
しかし商売で大切なのは、小さな積み重ねを馬鹿にしないことだと、前世の咲は学んでいた。
大きな取引は、小さな信頼の上に立つ。
糸子は行灯の灯を吹き消した。
暗闇の中で、今日の手応えを確かめた。
悪くない。
まだ始まったばかりだが、悪くない。
第三話 了




