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軽音リフレイン  作者: 猫森葵
第一章 新しい出会いと高校生活
5/5

◆思い出

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。これからも日々精進していきますので何卒よろしくお願いいたします。

 デザートのいちごタルトを作っているときにチャイムが鳴った。玄関に行くと白色のワンピースを着た琴音がいた。先程までの黒髪ロングは左側で結えられてサイドお団子ハーフアップになっていた。

 

「どう?いつもと違う髪型にしてみたけれど。可愛くない?」

 琴音は毛先を指でくるくると弄りながら、弾むような声で問いかける。

「うん。めっちゃ可愛いと思う。いつもの髪型も可愛いけれど春っぽい感じがしてその髪型も好きだよ。」

 そう僕が口にすると頬と耳をほんのりと赤くして俯いていた。何か変なことを言ってしまっただろうか?と思い先程までの言動を振り返ってみるが特に変なことは無かったような気がする。

 

「あら。いらっしゃい琴音ちゃん。みっちゃんはまだなの?」

 そのタイミングで現れたのは僕の母だった。みっちゃんとは琴音の母のことで神楽美咲さんのことだ。

「お邪魔してます。母は仕事が長引いていてもう少しかかるようです」

「そうなのね。どうぞ上がって。蓮の部屋で待っといてちょうだい。あと、掃除してたら蓮と琴音ちゃんの写真を集めたアルバムが出てきたからそれでも見ながら思い出話を語り合いなさいな。」

 母さんは気を使ってかそう言ってくれた。有り難くそのアルバムを見させていただくとしよう。

 

 部屋の扉を閉めると、外の音がすっと遠くなり、静かな空気だけが残った。

 机や棚の上には日常のままの物が並び、僕にとってはいつも通りの空間だ。いや、机の上には母さんが言っていたアルバムらしきものがあった。

 琴音はそっとベッドに腰を下ろし、僕の方を見ながら微かに笑った。 

 

 僕はそのアルバムを琴音の座っているベッドまで持って行く。アルバムの表紙には『ことれんメモリー2』と書かれていた。そのアルバムのページを開くと、小学生の頃の僕たちの姿が、まるで昨日のことのように目に飛び込んでくる。運動会の白い帽子、全力で走る僕の横を、笑顔で並走する琴音。遠足でお弁当を広げ、地面に座り込んで楽しそうに笑う二人の姿。写真に写るのは、まだあどけなくて、でも元気いっぱいの僕たちだった。


「あ、この写真覚えてる?」

 僕が小声で呟くと、琴音がすっと覗き込んできた。肩が触れそうな距離と髪から香るラベンダーのような香りが鼓動が早くさせる。夜の部屋の静けさの中、アルバムを共有するその瞬間に、僕は小学生の頃の時間がゆっくりと蘇るのを感じた。

「うん……あの時、私、必死に玉入れしてたんだよね」

 琴音の声は控えめで、でも笑みが混ざっている。昔の自分の写真を見ることが少し恥ずかしいようだった。

「みんなで頑張ったけどあと一個差で勝てなくて悔しかったよね?一個差だったから結構印象残ってる。」

 あの時は本当に悔しかった。今となってはたかが運動会。でもその時は大きなものだったのだから。

「ねっ!」

 そんな琴音の普段見せない無邪気な笑みに胸が高鳴る。単純だなと自分でも思う。きっと今ごろ僕の頬は桜色になっていることだろう。


 僕はページをめくりながら、遠足での思い出を思い出す。教室からバスに乗り込むときのわくわくした気持ち、道中に見た山や川の景色。琴音と僕はいつも隣同士で、ちょっとしたことで笑い合い、競い合った。たとえばお菓子を誰が先に食べるかで揉めたり、集合写真でどちらが前に立つかで小さな競争をしたり。小さなことでも、僕たちの関係は常に隣にいて、互いを意識し合っていた。


 運動会のページを開くと、リレーでバトンを渡す瞬間の写真が目に入る。僕の手からバトンを受け取る琴音の真剣な表情。それを見るだけで、あの時の緊張感や鼓動の高まりが思い出される。彼女は普段大人しくて控えめだったけれど、この瞬間だけは全力で、誰よりも輝いていた。

「この時、足がすごく速かったんだよね」

 僕が思わず笑いながら呟くと、琴音も小さく笑った。

「あの頃はね。今はそこまで速くないけど。」

 今のタイムと小学生の頃のタイムは一秒ほどしか変わっていない。小学生の頃はクラスどころか学年の中でも一番速かったのに。


 さらにページをめくると、遠足でお弁当を広げる写真がある。僕は友達と一緒に座り込み、琴音は少し離れた場所から手を振っている。でも、写真の中の僕は気づいていて、すぐに隣に行った記憶が蘇る。小学生の頃の僕たちは、何かとお互いのことを気にしながらも、自然に支え合っていた。

「覚えてる?この時、私のおにぎりが崩れちゃってさ」

 琴音の言葉に、僕は思わず吹き出した。

「うわ、それ僕も手伝ったよね」

 小さな出来事でも、振り返れば二人の関係を形作る大事な一コマになっていた。


 ページをめくる手が止まらない。遠足の景色、運動会での笑顔、勝ったときの喜びも負けたときの悔しさもすべて、このアルバムに閉じ込められている。僕はページをめくりながら、当時の空気や匂いまで思い出す。土の匂い、汗の匂い、弁当の匂い……どれも懐かしく、心を満たす香りだった。


「小学生の頃って、こんなに楽しかったんだね」

 僕が呟くと、琴音は静かに頷く。

「うん……でも、今もすごく楽しい!」

 彼女の言葉に、僕は胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。アルバムを通して見る僕たちの姿は、時間が経っても消えない、確かな思い出だった。

 

 僕はアルバムの次のページを開いた。そこには小学校の学芸会の写真が並んでいた。ステージの上で、僕と琴音は少し緊張しながらも、役になりきって演じている。衣装の色や小道具、背景の幕の色まで、ページの中に鮮やかに残っている。あの時の緊張感、拍手を浴びた瞬間のドキドキ感が、手に取るように思い出される。


「これ、覚えてる?」

 琴音が指をさす。ページには、僕がせりふを言う瞬間に、ちょっと固まってしまった写真が写っていた。

「うわ……恥ずかしいな」

 僕は顔を赤らめながらも笑った。琴音も小さく笑い、視線をそっと僕のほうに向ける。彼女のその笑顔は、昔と変わらない柔らかさを持っていたけれど、どこか控えめで、大人びた雰囲気も混じっている。


 次の写真には、クラスでの劇の練習風景が写っている。机を並べて即興劇のセリフを覚えたり、友達同士でアイデアを出し合ったりしている僕たち。琴音はメモを片手に静かに指示を出しているような姿で、あの頃から周りを気にすることができる子だったことを改めて感じた。僕も彼女の隣で一緒に笑ったり、時には意見をぶつけ合ったりしていた。


 写真の中の僕たちは、まだ小学生の無邪気さを持ちながらも、互いに影響し合い、助け合う関係性が見えていた。

「このセリフ、何度も練習したんだよね。だってまだ覚えてるもん。」

 僕が言うと、琴音は頷きながらも少し照れたように笑った。

「うん。今ここでやってみない?」

 控えめな声だったけれど、その言葉の端々に、彼女の楽しさが滲んでいるのがわかった。

「あのセリフ言うの?恥ずかしくない?」

「二人きりだし誰が聞いてるわけじゃないんだから大丈夫でしょ。」

 そう笑ってみせた。

「えー。じゃあ……だって僕は君を愛しているから。だから誰が反対しようと僕は君を絶対に手放さない」

 僕は言っててめっちゃ恥ずかしくなった。こんなのまるで告白ではないか。

「でもお父様やお母様は必ず私たちを引き離そうとしてくるでしょう。ああ、私が王家でなければよかったのに。」

 こんなセリフ小学生に言わせてたあの学校はやばいな。

「やっぱり恥ずかしいね。あの頃はなんともなかったのに。」

 そう口にして頬を赤くしている琴音をみて少し胸がドキドキした。自分から言っといて顔を赤くするとか卑怯だぞ。


 僕はさらにページをめくり、運動会や学芸会だけでなく、小学校の休み時間に遊んでいた写真も目に入れる。校庭で鬼ごっこをする僕たち、図書室で一緒に本を覗き込む琴音、雨の日に窓際で笑い合う二人の姿。それぞれの写真には、時間の経過とともに色あせた紙の質感があったけれど、僕の心にはその瞬間が鮮明に残っていた。


「小学生の頃は、初めてのことばかりですごく楽しかったよね。」

 

 彼女の言葉に、僕は思わず頷き、アルバムのページをゆっくりとめくりながら、あの頃の笑い声や会話を思い出す。砂の上に描いた落書き、友達と交換したメモ、先生に褒められた時の誇らしい気持ち。どれも、小さな瞬間だけれど、今の僕たちを形作った大事な記憶だった。


 ページを閉じる前に、僕は小さな溜息をつく。アルバムの中の僕たちは、まだあどけなくて、でも確かな友情に支えられていた。琴音もまた、同じ時間を共有していた。静かな夜の部屋で、二人で並んで座りながら、過去の思い出に浸るひとときは、何物にも代えがたい穏やかな時間だった。

 

 次に開いたページには、小学生の卒業式の集合写真があった。教室の前で、整列する僕たち。小学校最後の思い出として、みんな少し緊張しながらも笑顔を浮かべている。その中に、琴音も並んでいた。彼女は前に立つことも後ろに下がることもなく、まっすぐこちらを見て微笑んでいる。その笑顔は、小学生の頃の無邪気さを残しつつ、少しだけ大人びたものだった。


 僕はページに手を置き、しばらくその写真を見つめる。あの頃、僕と琴音はいつも隣にいて、遊んだり笑ったり、けんかしたりもしたけれど、必ず一緒に過ごしていた。ときどき小さな誤解で口をきかなくなることもあったけれど、結局は互いに笑い合って終わることが多かった。アルバムの中の写真が、それをすべて物語っているようだった。


「こんなに一緒だったんだね、私たち」

 琴音が小声で言う。声は控えめだけれど、アルバムの写真の向こうにある時間を思い出すように、丁寧に言葉を紡いでいた。

「うん……毎日一緒だった気がする。同性の友達よりも琴音といる時間の方が長かった。」

 僕も自然に答える。言葉にしなくても、あの頃の空気や雰囲気、笑い声まで思い出せる。小さな日常のひとつひとつが、今の僕にとってかけがえのないものだと、強く感じた。


 アルバムを閉じると、机の上に静かに置かれる音だけが、部屋の夜の静寂に響いた。窓の外からは微かな夜風が入り込み、カーテンをそっと揺らしている。僕は椅子に深く腰をかけ、琴音の方を見る。彼女もまた、アルバムを手元に置き、少し笑みを浮かべている。言葉は少なくても、共有した時間と思い出が、自然に二人の距離を近づけていた。


 僕は、ページの中の僕と琴音、そして今の二人を重ね合わせて眺める。小学生の頃は無邪気で、何もかもが新鮮で、そして少しだけ不安定だった。でも、だからこそ一緒に笑い合えた。琴音の存在は、どんな瞬間も僕を支えてくれた。目の前の琴音を見ると、その感覚がまったく色あせていないことに気づく。


 夜の静かな部屋の中、アルバムを前に二人で座る時間は、言葉にできない安心感で満ちていた。小学生の頃からの時間が、僕たちの距離を自然に作り上げ、無理なく心を通わせるきっかけになっているのだと感じる。アルバムを閉じると、僕は深く息を吐き、琴音に向かって笑みを返す。

「中学生のアルバムもあるしそれを読んでみよ」

 琴音も小さく頷き、静かに笑う。その笑顔を見ながら、僕は心の奥がじんわり温かくなるのを感じた。

 

 次のアルバムを開く。表紙には『れんことメモリー3』と書かれていた。中学時代の文化祭の写真が現れた。制服姿の僕たちが教室の前に並び、手に持った装飾や小道具で笑っている。小学生の頃の無邪気さはまだ残っているけれど、表情や立ち振る舞いには少しだけ大人びた雰囲気が混ざっている。あの頃は、少しずつ自分と周囲の距離を意識し始めた時期でもあった。


「文化祭、覚えてる?」

 琴音が静かに問いかける。声は落ち着いていて、相変わらず控えめだけれど、写真を見るときの瞳の輝きが、あの時の思い出をそっと呼び覚ますようだった。


「うん、準備でめっちゃ忙しかったの覚えてるよ」

 僕は微笑みながら答える。写真の中の自分を見つめると、あの頃の緊張感やワクワクした気持ちが蘇ってくる。文化祭の準備は大変だったけれど、みんなと一緒に動く楽しさがあった。

「文化祭の当日はもっと忙しかったよね。目まぐるしいほどのスピードでお客さんが来てね」

 琴音のその言葉に頷いた。

「飲食系の出し物はうちのクラスだけだったからね」

 飲食系の出し物は正門の前だったから文化祭に来るお客さんはみんなが見るからだろう。他のクラスとは比べ物にならないほどの人が来た。高校の文化祭が楽しみになってきた。


 ページをめくる手が止まらない。体育館でのステージ発表、教室に飾られた手作りの装飾、友達と協力して作り上げた作品。笑い声や小さなハプニングも、すべてが今となっては懐かしい。写真の中で僕の隣にいる琴音は、相変わらず控えめにしているけれど、時折見せる笑顔が眩しいほどに輝いていた。


「この時、私、緊張して手が震えてたんだよ」

 琴音が写真を指差しながら小さく笑う。

「え、本当に?全然わからなかった。いつも緊張してない感じだから」

 僕は驚きながらも笑う。彼女のそんな一面を知るのも、また思い出のひとつだ。


 その後も、ページの中の僕たちは日々を懸命に過ごしていた。体育祭の写真では、白色のはちまきを巻いて全力で走る僕の姿と、隣で照れくさそうに声援を送る琴音の姿が写っている。小学生の頃よりも少し成長した僕たちは、互いに支え合いながら、でもそれぞれの世界も持っていた。


「中学の頃って、少し距離あったよね」

 僕が呟くと、琴音は少し息を吐くようにして微笑む。

「うん……なんか周りのみんなは同性の友達とばかり遊んでいるし、異性との距離感が一番難しい時期だったからね。」

 その言葉は静かで短いけれど、胸の奥にじんわりと温かさが広がる。あの頃は僕も友達に揶揄われたりと自分から近づくこともあまりなかった。今となってわかるが揶揄ってくるのは嫉妬とかの類のものだったのだろう。琴音は昔からずば抜けて可愛かったからな。


 アルバムの写真を通じて、僕はあの頃の時間をもう一度体感しているようだった。授業中の休み時間に教室で笑い合ったこと、放課後に帰り道を並んで歩いたこと、些細なことでけんかしてもすぐ仲直りしたこと。全部が今の僕たちを形作る大切な経験だ。


 夜の静かな部屋の中で、アルバムのページをめくる音だけが響く。窓の外から入る夜風がカーテンをそっと揺らし、二人だけの時間がゆっくりと流れていく。言葉は少なくても、共有した記憶の重みが、自然に僕たちの距離を近づけているのを感じる。


「今も昔も、こうして一緒にいると落ち着くね」

 僕が言うと、琴音は静かに頷き、微笑む。その笑顔は控えめで、でも確かに心に響く。小学生の頃の距離感が少しずつ変化し、中学生になっても互いを意識しながら歩んできた日々が、今のこの穏やかな時間を支えているのだと実感する。何かが違えばきっとやってこなかった今。僕に恋人ができて琴音にも恋人ができる。そんな世界線もあったかもしれない。なので今を大切に生きていこうと密かに思う。 

 

 ページをめくると、次は中学の体育祭の写真が現れた。僕は真っ赤なはちまきをし、全力で走る姿を見せている。琴音は少し離れた場所から、控えめな笑顔で応援していた。小学生の頃のように無邪気におしないけれど、その距離感の微妙さが、逆にお互いの存在を意識させていた。


「覚えてる?この時、バトン落としそうになって焦ったんだよね」

 琴音が小さく笑いながら話しかける。その声はいつもと変わらず落ち着いていて、でもどこか楽しげだ。

「え、本当に?全然緊張してる感じがしなかったけど」

 僕は思わず笑う。写真の中で必死な自分と、冷静な琴音の姿を見比べると、距離があった中学時代の二人の関係が少しずつ見えてくる。


 中学は、小学生の頃よりも環境が広がり、友達の輪も増えた。クラスや部活での人間関係も複雑になり、自然と距離を置くことも覚えた。そんな中で、琴音とは無理に近づくことはせず、でもお互いを気にかけながら過ごしていた。写真を見ると、そうした距離感の中で築かれた信頼や絆も、微かに感じられる。


「そういえば、合唱祭の時も一緒に練習してたね」

 琴音がページを指差す。僕もその写真を見ながら頷く。教室でパート練習に励む僕たちの姿、指揮を見つめる彼女の真剣な眼差し。中学生の頃の二人は、言葉よりも互いの行動や表情で理解し合っていたように思う。


「私、あの時すごく緊張してたんだ」

 琴音が小さな声で告白する。

「そうだったんだ……全然気づかなかった」

 いつも緊張してないように見えるが実は緊張していたようだ。演技が得意で顔やスタイルはモデル並み。いっそのこと女優にでもなってみたらいいのに。といつも思う。

 中学生の頃は、お互いに少し距離を置いていた分、こうして昔の記憶を共有すると、新鮮で温かい気持ちが胸に広がる。


 アルバムのページをめくる手が止まらない。文化祭の準備風景、教室での休み時間、放課後に一緒に帰った日々。どれも小さな出来事だけれど、今の僕たちを形作る大切な時間だった。

 ページの向こう側の僕と琴音は、あの頃の距離感を保ちながらも、確かに心の奥では互いを支え合っていたのだと思う。


「中学の時は、言葉少なかったけど、ちゃんとお互いのこと考えてたんだよね」

 僕が呟くと、琴音は微かに笑って頷く。

「うん……そうだね」

 短い言葉のやり取りだけれど、その静かな会話が、僕の心を穏やかにしてくれる。


 窓の外の夜風がカーテンを揺らす中、アルバムのページをめくる音だけが部屋に響く。僕たちは言葉少なに、でも自然と笑顔を交わしながら、中学生時代の思い出に浸っていく。距離があったからこそ、大切に思えるものもあった。


「昔も今も、こうして話せるのって、やっぱりいいね」

 僕が小さく言うと、琴音は静かに頷き、ページの向こうの写真に指を置く。その指先の動きが、言葉以上に多くを語っているようで、胸が温かくなる。


 アルバムの中の僕たちは、時に照れくさく、時に真剣で、でもいつも互いを意識していた。そんな距離感の中で育まれた絆が、今のこの穏やかな時間にも確かに息づいているのを感じる。


感想の欄でバンド名を募集したいと思います。ご協力お願いいたします。(=^ェ^=)

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