(41)ホテル大和~史上最高にして最低の戦艦~
(41)ホテル大和~史上最高にして最低の戦艦~
作者。佐久間五十六。2020/03/07 完結 99話
内容。大和と戦争、
作者あらすじ。
戦艦大和は本当に最強だったのか?
それは果たして嘘か誠なのか、それを知る旅。
最強と言われた無敵の戦艦大和敵はいないはずだった。
だが皮肉にも真珠湾攻撃で、大日本帝国海軍が世界に
見せつけた、航空部隊による攻撃は
それまでの常識を、遥かに逸脱するものだった。
大艦巨砲主義に凝り固まり、戦艦による艦隊決戦こそ、
海戦の王者であったのも今は昔。航空母艦を用いた
機動部隊の活躍は、世界的にもショックが
大きかっただろう。善戦全勝の日本海軍も、
アメリカ相手の戦争を長引かせるつもりはなかった。
開戦時の連合艦隊司令長官山本五十六は
真珠湾攻撃を失敗だと評価している。
理由は2つ。1つは外務省職員の不手際による、
宣戦布告遅れで真珠湾攻撃が奇襲となってしまった事。
もう1つは、アメリカ海軍太平洋艦隊の空母を1隻も
撃破出来なかった事、この2つの理由から
真珠湾攻撃は、失敗だと評価している。
大和が連合艦隊の旗艦になったのは、真珠湾攻撃の
直後である。くしくもロシア海軍バルティック艦隊を
撃破した、世界最強の日本海軍がまた戦争を初めた。
山本長官は、早期講和の道を模索する。
何故なら、アメリカ相手の戦争は
負ける事を長官は誰よりも知っているからである。
日本海軍幹部もアメリカ相手の長期戦は厳しい。
陸軍に至っては、支那で中国と長引く戦争の泥試合を
していた。フリート・イン・ビーイング。
現存艦隊という加藤友三郎大将の考案した考え方を、
山本長官は大和こそ、それに相応しい。
艦艇としてのスペックは超一流。世界最強と言われた
アメリカ海軍のアイオワ級よりも強い。
日本海軍伝統の艦隊決戦に持ち込めれば、
日本は負けない。何とかして五分五分に
持って行ければ御の字という戦いだった。
大和の姉妹艦である武蔵も、大和同様のスペックを
持った艦艇であった。しかし零戦を越える空母艦載機を
造り出す事が出来なかった日本海軍は、
ついに禁断の攻撃に踏み切る事になる。
特攻の父といわれた大西瀧二郎中将は、
特攻を統率の外道と酷評している。
大和は、そんな時になってもまだトラック諸島と
柱島泊地を行ったり来たりばかりしている。
ホテル大和。いつしか戦いを忘れた海軍首脳部の、
豪華絢爛な食事は国民が飢えても、まだ営業を続けた。
己らの最後が、想像を絶するモノとは知らずに。
航空機の支援があっても沖縄で何が出来たか…
大和の最後は日本人が忘れてはいけない時代の
転換点となる。
●対米戦開始の不適切は明白だ、と思う。
そもそも戦えば敗ける相手になんで先に攻撃するのか?
攻撃を頑迷に主張したのは山本なのになぜ非戦人物?
陸軍と海軍は南方進出は決断したが対米戦は計画外。
この辺の事情は未だに庶民には判らないのですよね。