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【書籍化】追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜  作者: よどら文鳥


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97話 フラフレは勝負する

予定よりも1ヶ月ほど遅れての更新になってしまい、申し訳ございません。


 王宮直属主治医から処方された薬をプスっとおみまいされたおかげで、二日間で完治した。

 外の空気を吸いに中庭へ出る。曇り空になっているが雨は降っていない。聖なる力もお休みしてしまった影響か。

 花壇へ行くと、ミーリが楽しそうに花を観ていた。


「あら、フラフレさんったら、もっとゆっくり休んでいるものかと思いましたわよ?」

「んー。もう元気になったから大丈夫だよ。ありがとう」

「べ……別に心配して言ったわけではありませんことよ?」


 ミーリが顔を真っ赤にしながらそっぽを向いた。

 しばらくの付き合いになったからこそわかる。

 口では強がっているけれど、すごく心配してくれていたんだなぁと。


「フラフレさんが元気になったことですし、私も明日にはハーベスト王国へ帰ろうかと思います」


 ミーリがリバーサイド王国に来た理由が、聖なる力を強化させたくて来たことをすっかり忘れていた。

 それだけ彼女が毎日楽しそうに過ごしていたのを見てきたからである。


 せっかく仲良くなれた(たぶん)のに、しばらく会えなくなってしまうことは悲しい。

 だが、彼女が愛しているハーベスト王国のためにも引き留めるわけにはいかない。


「落ち着いたら、また来てね」

「そうさせてもらいますわ。ハーベスト王国を晴れさせて、見違えるような国にしてみせますわ。そうしたら、自慢しに来ますので」

「うん。待ってるからね」


 私が手を差し出すと、ミーリは躊躇いながらも握手を交わしてくれた。

 彼女の顔が真っ赤になって恥ずかしそうにしている。


「べ……別に嬉しくなんかありませんからね! ただ、フラフレさんとは今後ともライバルとして、目標にさせてもらいますわ。意地でもあなたよりも強い聖女になってみせますから」

「うんっ! 私も頑張るね!」


 そうは言ったものの、どう頑張ったら良いのかがわからない。

 毎日楽しく過ごしているだけなどとミーリに言ったら怒りそうだからこの言葉を選んだ。

 嘘を言っているわけではなく、私もミーリを見習ったことがある。リバーサイド王国を良い国にするために、もっと頑張ってみようと思ったのだ。


「帰る前に、私と勝負してくださいませんか?」「へ? 勝負って?」

「フラフレさんが倒れている間、私が代わりにリバーサイド王国が晴れるよう祈っていました。明日、帰る前に二人で一緒に祈って、どちらのほうが優れているか勝負したいのですわ」

「そう言われてもなぁ……」


 勝ち負けの問題ではないと思うんだけどなぁ……。

 ミーリが望むなら別に構わないんだけど。


「ジャッジはミラーシャ様に判断してもらいましょう」

「う……うん」

「フラフレさんは病み上がりですから、私にとってもちょうど良いハンデですわ。明日を楽しみにしていますわね!」


 それにしてもである。

 病気が治るまで、祈らなくて良いとアクアに言われていた。

 ミーリが代わりにやってくれていたに違いない。

 同年代の聖女として頼れる人ができて、私はとても嬉しかった。


 ♢


『太陽よ、雨雲に負けずに姿を見せなさい』


 ミーリから聖女の力をすごく感じた。

 ミラーシャさんから教えてもらったことだが、聖なる力を自分自身で感じることはできない。

 だから私がリバーサイド王国へ来たとき、聖なる力を失ったのだと思いこんでいたのだ。


 今までミラーシャさんの聖なる力をほんの少し感じることはできたが、これほどまでのすごい力を感じたのは初めてだ。


 ミラーシャさんがニコリとミーリに微笑んでいる。


「どうやらミーリちゃんも花を愛して力を手に入れたようね」

「ふっふーん。花と野菜は大好きですし、愛情を注げば良かっただなんて……。さ、フラフレさんも見せてくださいませ?」

「う、うん。頑張るね」


 ミーリはすごいことが分かった。

 私ではおそらく太刀打ちできないと思う。

 だからこそ、今できる精一杯を込めて祈ってみることにした。


『どうか、リバーサイド王国と太陽が仲良くなってくれますように』


「あ……あわわわ……」

「あらまぁ……」


「んがぁ?」


 ミーリは空を見上げながら口を大きく開けて固まっていて、ミラーシャさんはクスリと微笑んでいる。

 私もふと空を見上げると、雲が急速に消えていき、お日様サンサンのポカポカ陽気に急変した。

 二人で祈りを始める前までは、若干曇っていた。


「やったねーミーリ!」

「な……なにがですの?」

「一緒に祈ったから綺麗さっぱりだよ。良い天気になったよー!」

「な……なにを言っているのですか? ほとんどあなたがやったことでしょう……」


 ミーリが先に祈ったからこそ、こんなに早く天候が変わったんだと思う。

 勝負でもなんでもない。

 二人で協力したからこそできたことだ。


「今後も一緒に祈れたら良いのにね」

「うぅ……。からかわないでください。明らかに力の差を実感しましたわ。ミラーシャ様もそう思いましたわよね?」


 いやいや、ミーリの力はすごく感じた。

 だから私も頑張らなきゃと思いっきりやってみたのだ。

 しかし、ミラーシャさんはとんでもないことを口にした。


どろんこ聖女のコミカライズ版が、マンガがうがう様で配信始まっています。

フラフレとアクアがとてつもなく可愛く、フォルスト様もスーパーイケメンです。

序盤なので少ししか登場していませんが、ミーリ様が悪役令嬢みたいでとにかく良いです!!(笑)


どうぞよろしくお願いいたします。

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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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