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【書籍化】追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜  作者: よどら文鳥


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87話 フラフレは必死に考える

 玉座の間にて。

 フォルスト様が王服に着替え、私とアクアも清楚な格好になってから改めてミーリを迎えた。


「さて、ミーリよ。そなたのフラフレへの用件は理解した。理由もわかっている。だが、話してくれぬか?」

「そうですわね……。現在ハーベスト王国には三人の聖女がいますわ。悔しいけれど、全員で必死になっても雨を止めることはできませんでしたの」

「フラフレの力が偉大というわけか」

「そう認めるしかありませんわね……。今のハーベスト王国では、フラフレさんを追放させたジャルパル元陛下に対して、非難が集中しています」


 フォルスト様は、『そうか』と言いホッとしているようだった。

 ジャルパル陛下が無事に処罰されたようだ。


 ところで、私の大事な金貨を奪った悪党たちはどうなったのかが知りたい。

 今はそんなことを聞ける場面じゃないから、あとでコッソリとミーリに聞いておくとしよう。


「私は聖女としても、貴族令嬢としてもあの国を護りたいという気持ちはありますわ。でも今のままじゃどうしようもできない……。力不足だって痛感したからこそできないと分かったのです」


 ミーリが悔しそうにしながら涙を溢しはじめた。

 彼女の言葉は荒いものの、だからこそ彼女の気持ちが、より伝わってくる。

 フォルスト様も最初はミーリに対し警戒心が強かったが、今では優しい目を向けていた。


「そなたの気持ちは理解した。フラフレよ、ここは私ではなく自分自身の気持ちで決めてくれたまえ」

「私の気持ち?」

「ミーリに対し、教授するも拒否するもフラフレの気持ちに任せる」


 フォルスト様も私のことを気遣ってくれているのだろう。私がハーベスト王国で散々な目に遭ってきたことをフォルスト様は知っている。しかもその主犯の近い身分のお方からの頼みなわけだから、一概に決めることをしなかったのだと思う。

 でも、私はミーリから酷いことをされたことは記憶にない。彼女の発言によると、私が追放された日に色々と言ってきたそうだ。だが、今は謝罪もしてきているしもう過去のことは気にしない。

 気にするくらいのことといえばジャルパル陛下からのほぼ毎日の拷問と金貨どろぼうくらいか。


 だから、私はミーリの顔を見て微笑みながら言った。


「ミーリさんと関わること自体は全然構わないのですが、ただ――」

「じゃあ、良いのですね!?」


 ミーリが私が喋っている間に割り込んできた。

 今から一番肝心なことを言うところだったのに。


「あの、聖なる力って私の憶測――」

「良かったですわぁ!! これで国も救えるはずですわ!!」


 私の話を聞いてほしい。

 ジャルパル陛下も人の話を聞いてくれないことがよくあったが、ミーリも似たようなものか……。

 ミーリは本当に嬉しそうだし、その気持ちが先行して言葉に出てしまっただけなのかな。


 玉座の間だというのにもかかわらず、ミーリは大はしゃぎをして喜んでいた。

 フォルスト様は心配そうな顔をしながら私にひっそりと小声で話しかけてくる。


「フラフレよ……。聖なる力を強くさせる方法など知っているのか?」

「確証は持てませんが、馬車の中で考えてはいただけでして……」

「つまりフラフレでもわからないということだな。話を聞かない彼女に過失があるとはいえ……。万一にも間違いだったとして、あの喜びようでガッカリさせてしまうのはかわいそうだ。ミラーシャ殿にも声をかけておこう」

「ありがとうございます! 助かります!」


 しかし、問題もある。

 ベテラン聖女であるミラーシャさんのことを、私も真っ先に思い浮かんだのだが、今すぐにミラーシャさんと会うことができないからだ。


「ミラーシャ殿は今遠乗りをしているのだろう?」

「はい。ミラーシャさんの使っている農園は留守の間好きにして良いといわれていたので……」

「うーむ……」

「うーん……」


 せっかく必死になって聖なる力のことについて考えたことだ。

 もう一度ミーリに説明しようとしたが、やはり会話にならなかった。


「国のためにも私、頑張るわ!」


 もう私にもフォルスト様にも彼女の暴走を止めることはできなかった。


 私が予想した聖なる力に関しても、全く見当外れな答えではないと思うし、ここは私自身を信じてみることにしよう。

 嫌な予感しかしないけれど……。

 しかしミーリがこんなになってしまっている以上、こうするしか他に方法がなさそうだ。


 それでも念のために、私とフォルスト様の二人がかりで、彼女が落ち着いてもらったあとに説明をした。

 ようやく聞く体制に入ってくれたのだ。


 私の憶測で教えることになるから確実なものではないこと。

 そして、私自身の力も気がついたらいつの間にかこうなっていたということも全てだ。


 ミーリは、『全然問題ないですぅ』と言ってくれたため、急遽ミーリへの聖なる力増強作戦が開始されることになった。

 本当に話を聞いてくれていたのか不安だ。

 あとで文句を言われても困る。


 まぁ教えると言っても、私の負担はほとんどない。

 むしろ仲間が増えるから、私もワクワクしているだけである。


 ミーリと一緒に明日から楽しもうっと!

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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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