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【書籍化】追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜  作者: よどら文鳥


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リバーサイド王国VSジャルパル(中編)

「知らぬよ。私からの要求を逃れるための作り話にしか聞こえぬが」

「いいえ、全て本当のことですよ。他国との対談で嘘など言うわけがないでしょう。それこそ信頼問題に関わってきます」

「……当然のことだ。だがフォルスト国王の発言には証拠がない」


 フォルスト様は、クスクスと笑っていた。

 それに対して、ジャルパル陛下は顔から汗をかいている。

 もしかしたら動揺しているのかもしれない。


「証拠ですか……」

「所詮、すぐに用意できないのだろう」

「いえ、そうではなくてですね。良いのかと思いまして」

「どういうことだ?」

「ジャルパル殿の地位と名誉まで危うくなるかと。今ジャルパル殿の配下たちの目の前で公開して良いのですね?」

「あぁ、構わぬよ」


 フォルスト様が私のほうをチラリと向き、笑顔になった。

 こんなときでも私のことを心配してくれる優しさにドキりとしてしまった。

 すぐに微笑んでお返しをする。

 するとフォルスト様はすぐに真顔になって、今度は私の周りにいる護衛たちに声をかけた。


「よし、彼女をジャルパル殿に見えるようにしてくれたまえ」

「え? えぇっ?」


 かくれんぼしているはずだったのに。

 そんなことをされたらジャルパル陛下に見つかってしまうではないか。

 私は慌てふためく。


「大丈夫ですよ。もうかくれんぼはおしまいですから。次は聞かれたことをなんでも喋る時間です」

「ちょっとこわい」

「フラフレ様のことはここにいる全員で絶対に守ります。むしろ今ここで溜め込んできたことを吐き出しましょう」

「う、うん……」


 ジャルパル陛下から散々な仕打ちを受けてきたのだ。

 ここで今まで言いたくても言えなかったことをハッキリと言ってしまおう。


 よし!


「お久しぶりですジャルパル陛下」

「……………………誰だ?」

「そちらの国で地下牢生活していたフラフレですよ」


 ジャルパル陛下は信じられないといった表情をしながら、私のことを嫌らしい視線でジロジロと見てくる。

 こんな目線を向けられたことが初めてなため、ちょっと気持ち悪い。


「フォルスト国王よ……、嘘をつくでない。我が国にいたフラフレは、このような美しい姿をしていない。彼女はもっと細い骨みたいな体型で綺麗な髪ではなかった。少々似ているところもあるが別人だよ。こんなに美しい女性なら、婚約者にしたいくらいだが」


「褒め言葉として受け取っておきましょう。先ほども言いましたが、ハーベスト王国からの帰り道で発見したときの彼女の姿、体型、容姿全てが今とはまるで別人でしたよ。それだけ元気になったというわけです」

「信じられぬな。では自称フラフレに問いたい。追放する直前まで担当していた食事担当と、追放した際の御者の名前を述べてみよ」


「名前名乗られたこともないので知りませんよ……。あ、でもそこで後ろに隠れようとしている人が御者ですよね? あとそこの鎧被っているおじさんが食事担当の人でした」


 ジャルパル陛下の顔が青ざめていく。


 どうやら私のことをフラフレなのだと、本当に信じていなかったようだ。


「えぇと、なんでも喋って良いんですよね? 御者のかたが乱暴な運転をして馬車内で気持ち悪くなっちゃって。でも吐いたら殺すようなことを言われたので馬車から飛び降りたんです。そしたらそのまま置き去りにされちゃいました。食事を持ってきてくれた人は酷かったです……。運んでくれたパンを私の前で踏み潰したり泥まみれにされたものを毎日用意してましたよね」


 二人とも私から顔を背けたままなにも言えずにいるようだ。

 よし。反撃ができたようだ。

 この勢いで、次はジャルパル陛下のことをみんなに教えなきゃ。


 だが、実のところジャルパル陛下のことは予定が狂うと焦りだしたり、用意周到だということしか知らないんだよね。

 私が地下牢にいたころに話されたことをそのまま言うしかないか。


「ジャルパル陛下は私みたいな骨よりも、ふっくらとした体型で綺麗な子がタイプなんですよね」

「なぜ私だけそのようなことを言うのだ……」


「だから私を見た後に、ショーカン? そんなような名前の店でしたっけ。女の子がたくさんいるっていうショーカンへ行くと、一段とレベルの高い女がいると思い込めて気合いが入るって言っていましたっけ」

「よ……よせ!」


「たしかそれって大事な国務だから食事担当の人とか、たまに御者も連れて行くって言ってましたよね。しっかりと国の仕事はしている陛下だなぁって印象はありましたよ」

「…………」


 ジャルパルは無表情のまま固まっていた。


いつもは金曜日の更新ですが、新作告知に伴い今週だけは本日更新させていただきました。


『料理大好き令嬢は、冷酷無愛想公爵様の笑顔が見たいので、おいしいものをいっぱい提供します〜幼馴染に婚約解消されてから、幸せがはじまりました〜』


別サイトでランキングが表紙入りしたので、こちらでも投稿してみました。

ぜひよろしくお願いいたします。


なお、次回のどろんこ聖女は来週金曜日の更新となります。

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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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